自分で描いた絵(特に線画)を左右反転させてみるとおかしい、違和感を感じる、それはあなたの絵がもっと良くなるチャンスです。
絵を左右反転させるとわかること
人の目は不思議なもので、描いた絵を左右反転させると客観的に見ることが出来るようになるようで、元の絵では気が付かなかったデッサンの歪みなどに簡単に気が付くことが出来ます。
まるい瓶の底の形の歪み、人物の顔の左右で異なる目の大きさや頬のふくらみ、肩や腰のラインが斜めに傾いているなど…左右反転で絵を確認すると、自分の手グセを見つけやすくなります。
特に真正面から見た絵を描くときには、左右反転させて確認すると左右の違いがよくわかります。
この部分がおかしいなと感じたところを修正して描くことで、自然でデッサンのよくとれた絵が描けるようになります。
自分の手グセやデッサンの狂いに気が付くには、写真などをトレースするという方法もあります。
絵を左右反転する方法
左右反転した絵を見る方法は、絵を描いた紙を裏返して照明にかざすのがシンプルですぐ出来る方法です。
元の絵と左右反転した絵を同時に確認したい場合は、スマホで撮影して写真の編集で反転するのが簡単です。
左右反転を利用して絵を描く
初めから左右反転を利用して絵を描くことも出来ます。
片側だけの絵を左右反転してつなげる
人物の顔など、左右どちらか半分描いてトレースして反転させる、パソコンの画像加工アプリで反転した絵を合成するなどして、2つの絵をつなげて1枚の真正面から見た絵にするというものです。
この方法は左右があまりにもキレイに整っているため、退屈に見えてしまうこともあるので手離しにオススメする描き方ではありませんが、時短にもなりますし左右をつなげてみるとやはり違和感に気が付きやすいため、自分のデッサンが狂いやすいところを見つけやすく勉強になると思います。
左右反転の違和感を絵の味にする
絵を左右反転したとき明らかに下手に見えるようであれば、修正してデッサンの質を上げていくことも大事ですが、左右反転したことで感じられる違和感は、かえって絵の味となることもあります。
絵を左右反転させると描いた画家の意志が及ばない線や形となります。
それは時として画家自身だけでなく、見る人にとっても魅力的に映る場合もあります。
この左右反転のおもしろさを活かした絵の制作方法に版画があります。
作った版と刷った絵が左右反転する版画は多く、木版画、銅版画、リトグラフ、モノタイプなどがあります。消しゴムハンコもそうですね。
左右反転してほしくない場合は、版画の下図(別の紙に描いたもの)を先に左右反転させて版を作り、刷ったときに絵がはじめの向きに戻るようにして版画を刷ります。
まとめ
描いた絵を左右反転すると客観的に自分の絵を見ることが出来、上手く描けていないところを見つけることが出来ます。
左右反転したときの違和感をデッサンの向上に活かすことも出来ますし、違和感を味方につけて絵の魅力にすることも出来ます。
私自身は昔は絵を左右反転しては修正してというのをしつこく繰り返したこともありますが、キリがないのと、正確であることが自分の絵にとってそこまで重要ではなかったこともあり、今はパッと見て目に余るようであれば直そうくらいの感じです。
学生の頃は版画は下図と同じ向きになるようピチーッと版をこしらえていましたが、もし今また版画を制作するなら、フリーハンドで刷るまで完成形が見られないやり方を選んで作ってみたいなと思います。
左右反転を上手に利用して、絵を描くことがもっと楽しめたら良いですよね。