ポスターカラーに合う筆の種類と選び方|初心者にオススメの3本とは

ポスターカラーで絵を描くための筆を探し画材屋さんの筆コーナーを見ると、洋画材のショップの場合、水彩・アクリル・油絵といった分類になっていることが多く、ポスターカラー用と紹介されていることはほとんどないと思います。

一口にポスターカラー用と言っても、どんな絵を描きたいかによって必要な筆の種類は変わってきますが、とりあえずポスターカラーで絵を描くためにそろえたい絵筆や刷毛の種類と、初心者がはじめて購入する時にオススメの必要最小限の3種類の筆について解説します。

ポスターカラーと相性の良い筆

ポスターカラーと最も相性の良い筆と私が感じているのは、水彩用または日本画用の天然毛の筆です。

これは私があえてポスターカラーという画材を愛用するようになった理由とも関係があるのですが、ポスターカラーという画材は広範囲のベタ塗りのような大胆な描き方に優れている一方で、非常に繊細な描き方にも向いている絵の具だからです。

ポスターカラーというのはとても細やかな表現にもムリなく応じてくれる絵の具なのですが、その繊細な表現を叶えてくれる筆は天然毛(獣毛)の筆です。

最近は化学繊維でも描き心地の良い筆が色々出てきていますが、やはり天然毛を使ってしまうと手離せなくなります。

ポスターカラー用の筆の種類

ポスターカラーで絵を描くときに具体的にどんな筆が揃っていると描きやすいか、筆の種類について説明していきます。

丸筆

基本の丸筆です。

サイズ違いをいくつか持っていると便利ですが、はじめに1本だけ持つなら穂先(毛の部分)が3㎝ほどあるものがオススメです。

3cm位の筆は特に大きすぎるということもなく、毛先を使って細かなところも塗れます。

ハガキサイズ位の小さな絵しか描かない場合はもう少し小さな筆でも間に合いますが、広い面積を小さな筆で塗ると筆ムラでスッキリ描けないことが多いです。

そして経験上、特に初心者の人はあまり小さな筆でチマチマ塗るクセは付けない方が良いと思います。

のびのび塗るクセをつけてから細かなところも丁寧に塗るという方が、後々表現の幅や絵のスケールが変わってくると思います。

筆の毛の種類ですがポスターカラーで描くには羊毛筆がオススメです。

水彩絵の具にはコリンスキー(イタチ)が描きやすいと人気ですが、羊毛筆の方が柔らかい毛をしています。

イタチの毛は柔らかさとほどほどの弾力を兼ね備えた筆です。

これは水彩という水を多用した塗り方の時にはとても使い勝手が良い筆と思いますので、不透明水彩としてポスターカラーを使うという場合にはコリンスキーも良いと思います。

ポスターカラーらしいコッテリした塗り方の場合、毛が硬かったり弾力が強いと筆の跡が残りやすい傾向があるので、ムラのない塗り方が出来るポスターカラーの良さを活かすには羊毛筆の方が向いているなと感じ、私は羊毛(を含む)筆をメインで使っています。

ちなみに「羊毛筆」と呼ばれていますが、羊の毛のことではなく山羊の毛なのだそうです。ふしぎですね。

羊毛筆は水彩用の丸筆としてはあまり種類が出ていないので、日本画の「彩色筆と呼ばれる筆が種類も多くオススメです。

平筆

ポスターカラーの本領、ムラのない絵肌を作るのには平筆を使います

丸筆と比べて一回で塗ることの出来る範囲が広いので、比較的広い面を塗るのに使います。

こちらは水彩用、日本画用、またはデザイン用の筆があります。

私は羊毛の平筆と他の動物の毛で出来た平筆を使っていますが、どちらも使いやすいです。

平筆も穂先1~3㎝くらいまでのサイズ違いが何本かあると便利ですが、どれか1本なら穂先2.5cmくらいが便利と思います。

毛量が多く厚みがある場合、細かなところが描きにくいと感じたら自分で少し加工するとグンと塗りやすくなります。

私の持っている平筆は基本的に加工して使っています。

面相筆

面相筆は人物画なら顔の描き込み、動物なら毛、葉っぱの葉脈など細かなところを描くのに使います。

あなたがどれくらい細い筆が欲しいかにもよりますが、穂先が1~1.5㎝程度のものが使いやすいと思います。

私は何本か面相筆を使っていますが、正直なところ天然毛という以外何の毛か正確にわかっていません。

とりあえずはじめはイタチの毛を選んでおけば間違いないのでは。

刷毛

ポスターカラーで描くときに広い面積を出来るだけムラを作らずスカッと絵を仕上げるには、丸筆や平筆だけで描こうとせず刷毛を使うのがオススメです。

特に唐刷毛を使わないのであれば、キレイに塗るためには幅の広い刷毛を使う方が上手く描けます。

サイズは幅が9cm位あると重宝します

せめて幅6cm以上はあると良いと思います。

刷毛も描きにくければ平筆同様に加工すると扱いやすくなります。

唐刷毛

ポスターカラーに必須ではありませんが、あるとよりキレイな絵肌を作ることが出来ます。

ニッカー製の場合は出来れば使った方が良いと思います。

詳しい理由はこちらの記事で説明しています。

ターナー製の場合は唐刷毛はなくても良いかなと思います。(私は使っていません)

その理由もこちらでご確認いただけます。

唐刷毛で検索すると馬や鹿、豚などのかたい毛の刷毛が出てきますが、ニッカーさんの動画で見ると白い刷毛を使っておられるので羊毛でも大丈夫そうです。

ポスターカラー初心者にオススメの3本の筆

ポスターカラーで描く絵に最小限必要な筆の種類は、丸筆・平筆・面相筆です。

  • 丸筆 穂先3cm
  • 平筆 穂先2.5㎝
  • 面相筆 穂先1~1.5㎝

初心者の方は、とりあえずこの3本を揃えると描きやすいと思います。

ポスターカラー用の筆 まとめ

ここまで読んでいただくとなんとなくお気付きかもしれませんが、ポスターカラーは日本画の筆ととても相性が良いです。

今回具体的な商品名はご案内していませんが、商品をお探しになる場合は水彩画や日本画の筆を扱っているお店で、丸筆なら「彩色筆」、平筆はそのまま「平筆」または「デザイン平筆」、刷毛は「絵刷毛」で探していただくと合うものが色々見つかると思います。

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MIRAデザイン画家
絵が上達したい・自分の描いた絵を売ってみたい人へ、上達のヒントや画家活動の悩みの解決方法、画材などについて発信しています。 以前は画廊に勤め毎日絵を販売していました。 現在は師匠と吉祥画を制作販売したりリアル系似顔絵の注文を受けたり、絵画講師をしながら独自の支持体と不透明水彩、金箔などを使って絵を描いています。 ブログに書ききれない情報はメルマガで。 一生役立つ水彩画のテクニック講座が気になったら、おトクなオープニング価格のうちに体験してみてくださいね。 2025年2月、大阪堺筋本町の誠華堂にて展示。