水彩・顔彩にオススメの色紙はどれ?|紙の特徴とにじみの違いを解説

色紙は水彩紙とは紙の種類が異なるので、普段色紙を使わない人にとっては、どれが絵(イラスト)を描きやすいかわかりにくいと思います。

今回は水彩絵の具や顔彩で絵を描くときに描きやすいオススメの色紙を調べるため、5種類の色紙に同じ画材で同様の絵を描いて、絵の具のにじみの違いなどを比べてみました。

使った色紙は100均(セリア)の色紙、画仙紙、奉書紙、鳥の子、ドーサ引の5種類の色紙です。

それぞれの描き心地、特徴を画像と一緒に解説していきます。

水彩・顔彩で、色紙に絵を描き比べてみた

今回はそれぞれの色紙に椿の絵を描いてみました。

花の部分はポスターカラー、葉の部分は顔彩を使っています。

ポスターカラーはやや水分を多めにし、水彩らしい塗り方にしています。

100均(セリア)の色紙

まずは100均、セリアで3枚セットで販売されている色紙です。

紙の色は白く表面はツルツルとまではいきませんが、平坦です。

絵の具を塗ってみると、絵の具が紙にしみ込むのがとても遅く、紙の上に絵の具がたまってしまい、乾いたときに輪ジミが出来てしまいました。

顔彩もうまく紙にしみ込まず、やはり絵の具がたまったあとが残りました。

筆跡はあまり気になりませんので、重ね塗りは出来ますが、キレイなにじみが出来ません

たらし込み(ウェットインウェット)には向いていないようです。

ポスターカラーなら水分を少なくしてベタッと塗れないこともないですが、水を多く使う透明水彩や顔彩はあまりキレイに描けないと思います。

紙は真っ白なので発色は良かったです。

画仙紙の色紙

色紙といえば画仙紙のイメージを持っている方も多いと思います。

紙の色は白く、簾(す)の目と呼ばれる細かな横線が走っており、表面をさわると柔らかなザラつきがあります。

絵の具をのせると紙への吸い込みスピードがとても速く、吸い込むと同時にフワッと周辺に絵の具が広がります。

吸い込む力が強いので、紙表面でたらし込み(ウェットインウェット)をしようとしても間に合いません。

筆の跡が残りますので、重ね塗りをすればするほど汚くなると思います。

筆を走らせる方向に気を付け、一筆書きのように少ない手数でサッと描くと、紙の良さを活かせると思います。

発色はやや白っぽくなります。

絵の具のやわらかな広がり方はキレイですが、クセの強い紙とも言えるので、ある程度絵を描き慣れている人でないと、キレイに描くのは難しそうに感じました。

良くも悪くも筆跡に左右される紙なので、筆跡を味方に付けることが出来ればこの紙だから出来る風合いの面白い絵になると思います。

あなたの描きたい絵の画風に合うかどうかがネックだと思います。

奉書紙の色紙

画仙紙と並んでよく見にするのが奉書紙の色紙です。

色は白く発色が良いです。

表面はマットで平坦、普通の紙というイメージです。

絵の具の吸い込みはやや早く、画仙紙ほどでないもののフワッと色が広がる感じがあります。

同様にたらし込みもしにくいです。

筆跡も少し残ります。

お店の方は、奉書紙の色紙は芸能人の方がサインするのによく使われていると仰っていたので、絵より文字向きなのかもしれません。

100均の色紙よりはキレイに描けました。

鳥の子の色紙

日本画でよく使われる鳥の子ですが、紙の表面はツルツルです。

色は白いタイプもありますが、これは淡いクリーム色の色紙です。

絵の具の吸い込みはゆっくりで、あまり水分が多いと水たまりのようになってしまいますが、100均の色紙のように吸い込みそのものがよくないわけでないので、輪ジミにはなりません。

画仙紙のように筆で塗った部分より外側に絵の具が広がってにじむことはありませんが、絵の具のぬれている部分はたらし込みのにじみがキレイに出ます

筆の跡は残りにくいのでキレイに描けます。

紙に色がついているので、水分の多いところは紙の色が透けてやや黄色っぽく見えますが、これは好みかなと思います。

発色そのものは良いです。

色紙の場合は背景を描かないことも多いと思いますが、真っ白だといかにも「色紙」という雰囲気が出るところ、紙に色がついていると絵にボリューム感や高級感が出て、トクな感じがしました。

ドーサ引の色紙

ドーサというのは日本画の下地に使われるにじみ止めのことで、ドーサによって処理がしてある色紙です。

ドーサ引の色紙は紙の種類の異なるものがいくつか出ているのですが、この色紙は自宅にストックしていたもので正確な商品名がわかりません。

紙の見た目などから、おそらく特上画仙紙のドーサ引と思います。

色は白く、紙の表面に画仙紙より控えめな簾の目が走り、ややザラついた質感です。

絵の具をのせるとダントツに描きやすいです。

質の良い水彩紙に描いたときと同じような描きやすさで、筆跡が残らずキレイに描けます

絵の具の吸い込みは早すぎず遅すぎず、たらし込みの技法も出来ますし、にじみはキレイです。

ポスターカラーも顔彩もキレイにのび、重ね塗りしてもキレイでトラブルはありませんでした。

発色も良いです。

水彩・顔彩にオススメの色紙

水彩、顔彩ともに、どなたにもオススメしたいのはドーサ引の色紙です。

とりあえずドーサ引にしておけば間違いないと思います。

ツルツルの紙質に慣れれば、色のついている鳥の子の色紙もオススメ。

背景に色があるのはやっぱりありがたいですし、絵の具の吸い込みは遅くてもキレイに仕上がるので私は好きです。

紙質を上手くつかんで活かせるなら、画仙紙も面白い紙だと思います。

色紙を売ってるところ

色紙は100均やコンビニにも売っているけど、たいていサイン色紙など、ペンで描く用の色紙です。

文房具店でも色紙を置いていますが、種類は多くはないと思います。

絵の描きやすい色紙を売っている場所は、やはり画材店になります。

特に日本画材料や書道用品を買えるお店なら品ぞろえも多いと思います。

大阪でまとめ買いしたい方には、卸売りの誠華堂さんは個人的にオススメです。

色紙ってパッと見の雰囲気がどれもあまり違わないのですが、紙質が変わるだけでラクにキレイに描けるので、絵に合う色紙を選ぶことをオススメします。

ABOUT US
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ミラデザイン画家
似顔絵肖像画を描いたり師匠のアシスタントをしながら制作活動をしています。好きな画材はポスターカラー、不透明水彩、日本画の絵の具。琳派とヨーロッパアンティーク風の絵が好きです。画家活動や画廊で長く働いた経験から得た、絵の描き方やリアルなアートの話のほか、生きづらくて苦しんだ後にたどり着いた、前向きでラクな考え方や肩の力を抜いた楽しい生き方についても書いています。