水彩絵の具の筆の洗い方と保管方法|固まったときの洗い方も解説

水彩絵の具の筆を筆洗の底でガンガンたたいて洗って毛先を割ってしまったり、湿ったタオルの上に放置して筆の軸がひび割れたり、お習字の筆を洗うのを忘れて緑色のカビを生やしてみたり、私は何度も筆の扱いに失敗してきました。

おさがりの古い絵筆が根腐れしてしまい、毛が束になってボソッと抜け落ちたこともあります。

無意識にしているNGな洗い方や保管の仕方で、大切な筆をダメにしない為に…。

水彩絵の具の筆(特に獣毛筆)を長く大切に使う為の、優しい洗い方についてお話しします。

水彩絵の具の筆の洗い方

水彩絵の具の筆は、使い終わったり筆を持ち替えたりするときには放置せず、スグ筆洗で洗います。

ミラ

同時に何本も筆を使っていると、うっかり洗うのを忘れて筆がカチコチになったりするのよね

特に顔料濃度の高い不透明水彩の場合は、洗い忘れたり洗い方が不十分だと筆が固まってしまいます。

カチコチになっても水溶性なので丁寧に洗えばほぐれますが、筆にとってはあまりよろしくないので、忘れずスグに洗うようにしましょう。

水彩絵の具の筆は特別な洗剤などは必要ありません。

むしろ石鹸や洗剤などは使わない方が良いです。

筆洗の中で優しくフリフリして洗います。

筆洗に仕切りのある場合は一つ目のエリアでフリフリした後、別のエリアでもう一度洗うと筆に色が残りにくく、同じ筆を使って別の色の絵の具ですぐ描きやすいです。

絵の具がたっぷり筆についているときは、筆洗で洗う前にタオルやティッシュなどで軽くふき取ってから洗うとラクです。

やってはいけない筆の洗い方

筆洗の中で泡立つくらいガシャガシャ強く振ったり、流れる水道水に直接突っ込んだりすると筆が痛んでしまいます。

筆を筆洗の中に入れっぱなしにするのもNGです

筆洗の底に押し付けられて筆先が曲がってしまいます。

洗い直して元に戻るときもありますが、長時間入れっぱなしにしてしまったときは、変なクセが残ってしまうこともあります。

ミラ

描くことに一生懸命になると、筆洗に筆を入れたのも忘れちゃったりするのよねぇ…でも気を付けよう

たっぷり濃い絵の具を含ませた後や、キレイに洗いきれていなかったときなど、筆の根元に絵の具が入り込んでいることがあります。

そんな時は筆洗の底などでトントンして根元の絵の具を落としたくなりますが、やはり筆を痛めることになるので基本は振り洗いです。

筆が痛むと毛が根元から割れてきて綺麗に描けなくなり、使えなくなってしまいますので、筆は丁寧に扱いましょう。

ミラ

でも気がついたら1本だけ、洗い忘れたのが転がってることもあるのよ…

絵の具がこびりついて固まってしまったときなど、ついお湯で洗いたくなりますが、特に天然の毛を使った筆は熱いお湯でも痛んでしまうので、出来るだけ水で洗ってください。

どうしてもお湯を使いたいときはぬるま湯にしておきましょう。

ウールのセーターなどを洗濯するときには30℃以下という表示をよく見ますが、天然毛の絵筆も同様に考えると良いと思います。

こびりついているときは、ためた水の中に筆を入れたまま毛の流れに逆らわずに指の腹で軽くもむようにして洗うと、少しずつほぐれていきます。

洗った絵筆の保管方法

水彩絵の具の筆を洗った後は、タオルなどで水気をふきます。

毛流れが乱れているようなら軽くならして形を整え、ひも付きの筆は出来るだけ吊るし、直射日光の当たらない風通しの良い場所でよく乾かします。

ミラ

私はいつも、南向きの窓の近くで乾かしているよ

吊るして乾かすことで筆の根元に水分がたまらず根腐れを起こしにくくなり、筆を長持ちさせることが出来ます。

もし洗いきれなかった絵の具が根元に残っていても、吊るしておくと自然に下におりてくれます。

紐のついていない筆の場合や筆を吊るす道具がない場合は、乾いたタオルや新聞紙の上に広げて、やはり風通しの良いところへ。

ミラ

新聞紙はとても吸湿性が良いので、私はいつも畳んだ新聞紙の上で乾かします

出来るだけ早く筆から水分が抜けるよう、途中で何度か新聞紙を取り換えるなどして乾かしましょう。

キッチン用の水切りに使う吸水マットなども良いと思います。

筆は湿気が根元にたまると根腐れの原因になったり、軸が竹で出来ているものは割れてくることもあるので、基本的に逆さに立てて保管しない方がいいようです。

ミラ

わかってはいるんだけど…筆が増えてもう寝かせて保管できる量でなくなってきたんだよ…

私の場合は寝かせてしっかり乾かしたら、使っていない筆は筆立てに立てています。

まとめ

水彩画の筆は洗い方に特別変わったことはありません。

長持ちさせる為には、とにかくこまめに洗ってしっかり乾かすことです。

吊るして保管できるのがベストですが、寝かせて保管する場合は毛に変なクセがつかないように整えて保管しましょう。

私もおさがりの筆を使っていますが、私の師匠も画家だったお母さんの筆を今も大事に使っておられます。

筆は大事に使えば何十年も寄り添ってくれます。

少し気を付けるだけで長持ちしてくれますので、あなたの筆も大事にしてあげてくださいね。

筆はキレイになったけど、手にこびりついた絵の具をキレイに洗いたい場合は、こちらの記事もご参考にどうぞ。(ポスターカラー以外の水彩絵の具などでもとれます)

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ミラデザイン画家
似顔絵肖像画を描いたり師匠のアシスタントをしながら制作活動をしています。好きな画材はポスターカラー、不透明水彩、日本画の絵の具。琳派とヨーロッパアンティーク風の絵が好きです。画家活動や画廊で長く働いた経験から得た、絵の描き方やリアルなアートの話のほか、生きづらくて苦しんだ後にたどり着いた、前向きでラクな考え方や肩の力を抜いた楽しい生き方についても書いています。