絵の完成度を左右する構図。
構図が良くない絵は、せっかく頑張って描いてもヘタに見えてしまうこともあります。
絵やイラストを描くときの構図の決め方、資料の写真から描く場合のトリミングのコツなど、構図の考え方の基本についてお話しします。
もくじ
絵の主題で構図を決める
たとえば、バスケットの中に仔犬がいる可愛い絵を描きたいとします。
この画像を見てください。

このままの構図だとなんだか仔犬はさびしそう、山に捨てられたのかなという雰囲気さえしてきます。
仔犬の可愛さを描きたい場合、この写真の背景はさほど重要ではありませんので、もっと大胆なトリミングが必要です。
この絵は仔犬が描きたかったのだと一目でわかるように、トリミングするとこんな構図に出来ます。(これだけが正解というわけではありません)

縦ならこんな感じ。

お花などを描きそえたら、もっと可愛くなりそうです。
絵の構図は三角形
絵の主題をふまえた上で、次に構図を考えるとき、ざっくりと三角形を意識するとバランスがとりやすくなります。
構図が直線的だとおとなしくおもしろみを感じにくいですが、三角形にすることで絵の中に動きが生まれます。
紙やキャンバスの多くは四角形ですが、構図まで四角形にしてしまうと圧迫感を感じます。

四スミのうちどこか一角に逃げ場(空間)を空けておくことで、見る人はラクにスッと絵を見ることが出来るので、構図をとるときは三角形を意識するのがコツです。
三角形を意識したデッサン(静物画)モチーフの並べ方は、こちらの記事でも詳しく解説しています。
シンメトリー(左右対称)
絵の構図において、シンメトリーは左右対称という意味です。
人はシンメトリーなものに美を感じるといわれています。
シンメトリーな建築では平等院鳳凰堂が有名ですね。
シンメトリーの構図の絵は整った印象、安定感、静かで落ち着いた上品なイメージになります。
アシンメトリー(非対称)
アシンメトリーは左右のバランスを崩した構図のこと。
シンメトリーが静かな印象だったのに対し、アシンメトリーは動きのある構図になります。
アシンメトリーの構図は躍動感、楽しさ、生き生きとした表現の絵に向いています。
三分割法
三分割法は紙を縦横それぞれ三分割にしたとき、縦と横の線の交わる点のどこかにモチーフを合わせると、自然と良い構図になるという方法です。

この画像ではメインのモチーフである家が右下の点に合っています。
実際はキチッと三分割の交わる点の上でなく、モチーフの形によってベストな位置が少しズレることもよくありますので、最終的には自分の目とセンスで調節して構図を決めましょう。
絵を描くときだけでなく写真を撮るときも同様に当てはまる構図のとり方なので、スマホで撮った写真から絵に起こす人は、撮影するときにはじめからカメラにグリッド線を出しておいて撮影するという方法もあります。
iPhoneカメラのグリッド線(三分割法)の出し方
歯車の「設定」をタップ
「カメラ」をタップ

「グリッド」をオンにする

写真の資料に関してはこの方法だけでは物足りないかもしれません。
絵を描くときに重宝する資料写真の撮り方については、こちらの記事もご参考になさってください。
時間の印象を構図でコントロールする
こちらの画像を見てください。

この人物の位置を調整してトリミングするだけで、かなり印象を変えることが出来ます。
まずは人物の向かって前側に空間を空けてみましょう。

前側に空間があると、人物がこれからの未来に向かって進んでいくような気配や期待感、前向きな希望を感じられます。
今度は人物の後ろに空間を空けてみます。

後ろ側に空間があると過去の記憶を思い出すような、ノスタルジックな気配が感じられます。
このように写真をトリミングする部分を変えることで、物語性のある絵にしたり、表現したいテーマに合わせた構図にすることが出来ます。
構図のまとめ
構図が良いと描いていてもラクで、絵の完成度も高くなります。
構図はわかりやすさが一番。
まずはその絵で表現したいことは何か、パッと見て伝わるような構図にすることが大切です。
構図を考えるときは絵の主題をはっきりさせ、その上で三角形の構図や三分割法などを上手に組み合わせることで、目を引くカッコいい構図が決まります。
普段から、カッコよく見える構図を意識して写真を撮る習慣をつけておくと、自然とセンスが良くなり、絵を描くときにもラクに構図が決められるようになりますよ。
絵の上達にはこちらの記事もオススメです。