水彩画の水張りがうまくいかないと、絵を描く出鼻をくじかれるようでガックリしますよね。
水張りはやりにくい道具を使っていたり、コツを知らずにしていると失敗しやすくなります。
この記事では水彩紙を水張りするのに必要な道具についての説明と、水張りの基本をおさえつつ、出来るだけ難しくない簡単なやり方を画像とともに丁寧に説明していきます。
もくじ
水張りは何のためにするのか
水彩画を描くとき、水彩紙をあらかじめ水張りしないと紙がボコボコに波打ってしまいます。
そうなると、描いているときは望んでいない部分に絵の具がたまってしまって描きにくくなり、完成してからもボコボコのままでカッコよくありません。
水張りは水彩画を制作するときに描きやすい状態をキープするため、そして完成したときまっすぐ綺麗な状態であるためにするものです。
水彩紙の種類によっては(分厚いものなど)水張りをしなくてもあまり波打たないものもありますが、作品として残したいものや販売する絵は基本的には水張りをすると美しく仕上がります。
水彩画の水張りに必要な道具
さっそく水張りの準備です。
- 水彩紙
- 水張りテープ
- 画板(パネル)
- 筆洗と刷毛
- タオル (なくても出来ます)
- 敷物 (なくても出来ます)
水彩紙
まずは水彩画を描く為の水彩紙。
仕上がりサイズよりひとまわり大きめの紙を用意します。
水張りテープ
水張りテープ(紙テープ)は画材屋さんか文房具屋さんで手に入ります。

紙のテープで片面に糊がついているので濡らして使います。
今回の水張りはパネル側面に巻き込んでとめる必要はないので、幅は2~3cmあればじゅうぶんです。
湿気で劣化するので、私は保管する時はジップ付きの袋にシリカゲル(お菓子などの食品についていたものなど)と一緒に入れています。
マスキングテープは濡れると簡単に剥がれるので、途中で剝がれてほしくないときは水張り用のテープを選んでください。
画板(パネル)
画板(パネル)ですが、こちらは紙のサイズより大きいものを用意します。
水張りパネルで検索すると大抵木枠のついたパネルが出てきます。
この木枠パネルを使う場合、通常は側面まで紙を巻き込んでとめるのですが、慣れないとやりにくくてピッチリ上手く張れないという失敗を起こしやすいので、この記事では紙をパネル表面にまっすぐのまま貼り付ける平張りの方法をお伝えします。

木枠の付いたパネルで平張りする場合は、若干大きめのものを用意してね
パネルでなくて平らな板を使う場合(推奨)は、アクの少ないシナベニヤ、または表面にツルツルの加工を施していない白っぽいコンパネを用意します。
厚さは4~5mm程度のものが描きやすいです。
板の場合はあまり薄いと伸縮の大きな水彩紙(ワーグマンなど)の場合、紙が乾いた時にぐっと縮んで引っ張られ、反ってしまって描きにくくなる場合があります。
そして紙のサイズが大きいほど、反りは出やすくなります。
反りにくいという意味では5mm以上の分厚い板でももちろん良いのですが、机に寝かせて描く絵の場合、描くときに机と板との段差が大きいと描きにくかったり、手が疲れやすくなります。
これは先述の木枠のパネルにも言えることです。

段差が大きい(1㎝位ある)場合は描く手も乗るくらい水張り用の板を大きめにするか、水張り用の板と同じ厚みの板やスチレンボードなどを、手をのせる台として別に用意するとストレスが減るよ

私の場合は画板ではなく額縁の裏板(だけ)をまとめ買いして代用しています。
裏板は2mm程度なので段差のストレスがありません。
ただし、裏板は集成材なので何度も繰り返し使っているうちにボロボロになってしまいます。(集成材もいろいろでギュッと細かく目の詰まっているものはわりとともちますが、荒い物は1・2回洗っただけでボロボロになりました)
薄い分反りやすいので、紙を張りこむときの力加減も調整するなど、慣れていないとかえって扱いにくいかもしれません。

オススメは厚さ4~5㎜のシナベニヤかコンパネです
コンパネの方がシナベニヤより強度があるため反りにくいし丈夫ですが、その分重たくなります。
コンパネを使うときは表面にツルツルの塗装加工がされていると水張りテープが付きにくい場合があるので塗装加工のないもの、そしてアクの出にくい白っぽい色のものを選んでください。

通販でも手に入るけれど、ホームセンターに直接買いに行って、自分の好きな大きさに切ってもらうのが使い勝手がいいと思うよ
筆洗と刷毛
水張りでは紙や水張りテープを濡らす工程があるので、筆洗に水をくみ刷毛(水刷毛)を使います。
タオル
水張りの作業中に紙の下の空気を抜く為に、そっと紙をおさえるのに使います。
…が、私は最近ではタオルは使わずに水張りしています。
どっちでもいい。
敷物
紙を濡らしてしばらく置いておくときに紙の下に敷くもの。
何でもいいと思いますが、私は水張りする時は床に紙をひろげることが多いので、床が湿気ないように耐水性のシートなどの上に紙をのせています。
水張りのやり方
いよいよ実際に水張りしていきましょう。
水彩紙の表側に、仕上がりサイズの線を鉛筆で薄く描いておきます。


仕上がり線を描くときは、直角定規を使うとズレにくくて便利だよ
水彩紙より少し長めに水張りテープをカットします。

長辺用2枚、短辺用2枚…。
私の場合はたまたま購入した水張りテープが4cmの幅広だった(その時それしか店になかった)のですが、大衣サイズ程度までの紙ならこんなに太いテープでなくて良いので、1枚を半分の幅にカットして2枚にして使っています。


勿体ないというより、幅が太くない方が絵を描き終わった後にテープをはがす作業がラクになるのよ
紙の裏側に刷毛でたっぷり水を引きます。

縦向き横向き両方向から引きます。

あまり強くない紙の場合、表側はなんどもボトボトにしてしまうと毛羽立つことがあるので裏側だけに水を引きます。
ただ、裏側にしか水を引かないと紙がクルンと巻いてしまって作業がしにくいことがあります。

マスキングなどにも耐えられる強い紙の場合は、表側にも水を引くと作業しやすくなります。
水彩紙の種類や厚さにもよりますが、3分位待つとシナ~と紙が伸びているのがわかります。
その時点で紙を縦横にそっと引っ張り、伸びる方向を確認します。

キレイに水張りする為に大切なポイントだから、必ず確認してくださいね
紙には縦目横目が通っていて、伸びる方向と伸びない方向があります。
カットの仕方次第で、紙の長辺が伸びることもあれば短辺が伸びる場合もあります。
濡れている状態で軽く引っ張ると、感触で伸びるか伸びないかを確認できます。


紙は伸びた方向から先に板へ張り付けていきます。
しわやたるみが出来る水張りの失敗の多くは、紙の伸び縮みの方向を確認しないせいで起こります。
必ず伸びる方から張るのがコツです。
水張りテープを濡らします。
まずテープの糊面を上向きにして置き、端を片手で持ち、もう片方の手で濡らした刷毛をテープの端にそっと押し当てます。

その状態でテープを持つ手だけを動かしてテープを引っ張ると、簡単キレイにテープの糊面全体を濡らすことが出来ます。

はじめの一辺にテープを貼ります。
鉛筆で描いた線より外側にそっとテープを付け、板にのせます。

テープの中央から両端に向かって伸ばすように擦って、シッカリ貼り付けます。
テープで貼った反対側の辺にもそっとテープを貼ります。
この時点ではまだ紙だけにテープを付け、テープごと紙を持ったら紙を伸ばすように引っ張りながら板にとめます。

たわむことがないよう、まず左右の両端をナナメにシッカリ引っ張りながらとめ、次に真ん中も軽く手前に引きながらそっと押さえてとめます、先ほどと同じように真ん中から両端に向かってテープをシッカリ貼ります。
紙の際のところが浮いていると後からはがれる原因になるので、際の貼り残しがないか確認しながら貼りましょう。
残りの2辺にもテープを貼ります。
このときに紙が部分的にふくらんで気になるようなら、紙の中央から外側に向かってタオルでそっと空気を押し出すようにおさえてからとめます。
タオルでなくても刷毛などでも出来ます。

この段階でわずかにボコボコがあっても紙が乾けばわりととピンとなるので、この工程はとばしても大丈夫です。(最近では私はタオルは使いません。)
あまり強度のない紙(マスキングが出来ないような紙)の場合は紙の表面はさわらないほうが良いです。
完成。

風通しのいい場所などで、よく乾かしてください。
下に新聞紙を敷いておくと早く乾きます。
立てかけて乾かしても良いですが、もし板が反ってきた場合は早めに平らに置いて、重しをのせておくと大丈夫です。(重しは紙の上に直接は置かないでね)
水張りした紙のはずし方
水張りして水彩画が完成し絵が乾いたら、板から紙をはずします。
紙の際の部分にカッターナイフを差し込み、刃を寝かせたまま水彩紙でなく水張りテープのみを切るとラクにキレイにはずせます。

板から水彩紙を外したら、改めて仕上がり線に合わせて紙をカットしてください。
このとき水張りするときに引っ張っているため、はじめに測った長さより僅かに紙が伸びて長くなっている場合がありますので、私は仕上がり線より1mmほど内側をカットするようにしています。
もっと簡易な水張りの方法
ここまで説明した方法はコンクールに出す絵や販売用の絵など、作品としてきちんとキレイな状態にしなくてはいけない時のための水張りのやり方です。

でもテープをはがすのが毎回メンドウだし、もっと気軽に水張りしたいときは100均のプラ板とマスキングテープでも良いと思うよ
というか、私のワークショップでも絵画教室でも100均のプラ板とマスキングテープでやっています。

どうしてもテープの粘着が弱いので、背景までしっかり色を塗る描き方だと途中でテープが浮いてはがれてしまうこともあります(ワークショップでは必ずはがれちゃう人がいます。その人のせいでなくてテープのせいです。)が、ワークショップとかだと簡易なほうが何かと便利です。
まとめ
水彩画の水張りは平らな状態ですれば、むずかしくありません。
紙目(伸びる方向)だけはシッカリ確認し、軽く引っ張りながらテープを貼れば失敗せずキレイに張れると思います。

水張り用の画板は、よく使うサイズごとに何枚ずつか用意しておくと便利だよ
使い終わった後の画板に残ったテープを掃除する方法は、こちらの記事で詳しく説明しています。
どうしてもテープを貼るのが苦手という方には、ホッチキスで留める方法もあります。


















水張り自体はどんな紙を使おうと基本のやり方は同じなので、コツを覚えてマスターしてしまおう