2025年2月15日、ホルベインワークショップルームにて不透明水彩(ガッシュ)を使ったワークショップが開催され、講師は私(デザイン画家MIRA)が担当しました。
【不透明水彩(ガッシュ)で描くお洒落なアンティーク風絵画】という若干オシの強いタイトルのワークショップがどのような内容だったか、開催の裏側もふくめてお伝えしようと思います。
ワークショップの概要
今回のワークショップは2025年春季ホルベインワークショップで開催する【不透明水彩(ガッシュ)で描くお洒落なアンティーク風絵画】の先行体験として開催されたものです。
ホルベインさんのワークショップのお申し込みにつきましては往復はがきで3月5日必着のご応募、抽選でのご参加決定となります。
詳しくはホルベインさんのホームページをご確認ください。
満席にならなかった場合のみ後日メールやお電話でのお申し込みも可能になりますので、3月5日以降はホルベインさんへ空席状況をご確認、お問い合わせください。

ワークショップで用意したのは私の下図を印刷した水彩紙、見本と描き方などの説明のプリント2枚、復習したい人用に下図の原寸大コピーが1枚。
完成後に実際に飾っていただけるように特殊な形状に窓を抜いたカラーマットを2種類ホルベインさんが用意してくださり、参加者さんにプレゼントしました。
描き方のプリントは先輩講師の森口慶一さんのワークショップに参加させていただいた時にも配布されていて(すごく良い)と思ったので、マネさせていただきました。
4月・5月にもホルベインさんで森口先生の色鉛筆画のワークショップが開催されます。
森口さんはとても素敵な絵を描かれている画家さんで、5月のグループ展でもご一緒させていただくことになりました。
絵の具はホルベインさんのガッシュを使い、マスキングテープで水張りするところからのスタート。
ふだん私が作品制作する時には途中ではがれる可能性が高いのでマスキングテープは使わず水張りテープを使うのですが、ワークショップなので略式の水張りにしました。
筆についてはホルベインさんと相談して4本用意していただきました。
筆のウラ話は後ほど。
短い自己紹介の後で描き方の説明とデモンストレーションを段階ごとに行い、皆さんに描いていただきました。
当日までとてもあわただしく過ごしていましたので緊張する間もなく当日を迎えたのですが、いざ参加者さんに囲まれてデモンストレーションしていると変な汗が出はじめ、(あれ?こんな緊張するんだ?)とあせりました。
(困ったな…)とは思いましたが、参加者さんたちがみなさん優しい方ばかりでしたし、私も私のことはいいので何とか参加者さんたちに喜んでもらいたい、楽しく学べて来た甲斐があったと思っていただけるようにという一心でしたので、途中からは落ち着いて進行することが出来ました。

皆さんが描いている時間はおひとりおひとりの席をまわって様子を見せていただいたり、そのタイミングで個別に質問に答えていました。
私はオンラインでも講師をしているのですがリアルな会場で実際に席をまわって見せていただくと、やはり目の前だからこそ参加者さんがどこを難しいと感じているかに気付くことや、アドバイス出来ることもありました。
やっぱりリアルで学ぶというのが基本かと思うのと同時に、今後オンラインではどのようにサポートしていけば良いかということについて、すごく考えさせられました。
4つのこだわりポイント
ワークショップを開催させていただくにあたり、ホルベインさんとはしっかり打ち合わせや予行演習までさせていただきました。
そのなかで大切にしたポイントがあります。
実際に飾れる絵を描く

私のメールマガジン(パピプルマガジン)には「絵を売りたい」という人からの相談がチョコチョコあります。
でも相談してくださった方にたずねると【自分の絵を額縁に入れて飾ってみたり、どんな人がどんなところに自分の絵を飾ってくれるか考えたこともなかった】というケースが多いんです。
私自身も思い出してみると絵画教室や学校の美術の時間などに描いた絵は額縁に入れて飾ることはなかったので、絵を飾るってどういうことなのか、自分の描いた絵を飾るおもしろさを経験していただきたくてマットのプレゼントという企画になりました。(画像のマットはサンプルです。実際はグリーンとピンクのマットになりました。)
マットの後ろに紙製スタンドもつくので、額縁に入れなくても立てて飾れます。
そしてもちろん絵柄も部屋に飾れるものを…

そのためには初心者の人でも完成時にサマになっている必要があるので、下図の制作と使う色についてはすごく考えて決めました。
本当に初心者の人でも大丈夫かな?という不安はゼロではありませんでしたが、実際に開催してみて皆さんすごく良い感じに描かれていたので大丈夫でした。
描き方を学べる
これは私が講師業を始めた大きな理由のひとつなのですが、絵って自己流だから思うように描けないケースがすごく多い気がするんです。
絵の世界は「独学です」っていう方が活躍されていることも珍しくはないので【独学で出来るもの】むしろ【絵なんて習うべきでない】という風潮を感じることもあるのですが、スタートするときに道具の使い方や描き方を学べているとすごくやりやすいとは思うんですね。
絵って教わることの出来ない領域と教わることが出来る領域があって、学べるところは学んだ方が近道ではあるというのが私の考えです。

よく料理に例えてお話しするのですが、たとえば菜切り包丁でお肉を切っていたら「包丁変えた方が切りやすいよ」ってなりますし、お刺身を押して切っていたら「包丁は引いて切るんだよ」と教わればキレイに切ることが出来ると思うんです。
自己流で上手くいかないのは才能うんぬんではなく、それ以前のことを教わる機会がなかったというだけなんですね。
だからもう、なんとかその部分、どこにどの筆を使うか、どう動かすか、加減はどうするかなど教えることの出来る部分をしっかり伝えたいというのがずっと思い続けてきたことでした。
だからワークショップの中では色々筆を使い分けたり筆の動かし方、水の加減などについても出来るだけていねいに伝えるようにしました。
あとはその技術を使ってそれぞれ皆さんが自分の好きな絵を描いていかれたら、教わることの出来ない領域も伸びしろが増えると思っています。
道具の工夫
どの部分にどの筆をというところでは、実際に私が作品作りをするときにはもっと多くの筆を使い分けていますが、ワークショップでは3本の筆と1本の刷毛の4種類を使うことになりました。
水彩画を描いている方にあまり知られていないけれどイチオシのこだわりの筆を選んでいます。
いまのところ刷毛に関しては私が絵を描く(色を塗るように使う)ときにオススメ出来るのは【絵刷毛】のみです。

でも絵刷毛って結構高いんですね。
ワークショップの人数分メーカーさんにご用意いただくというのは申し訳ないですし、初心者さんが気軽に買える値段でもないので、手に入りやすい刷毛をある程度描きやすく自分で加工すれば良いというのを皆さんにお伝えし、ワークショップで使う刷毛もすべて事前にホルベインさんからお預かりして私が使いやすく加工したものをお配りしました。
開催後にワークショップで使用した筆一式をショールームで購入してくださった方もおられたようで、ぜひ活用していただけたらと思います。
ぬり絵じゃない絵の描き方
水彩絵の具って色んな描き方が出来ますが、私は「色塗り」とはことなる【絵の具で描く】という描き方を教えています。
だから事前に用意した下図も必要最低限しか描かれておらず、下図の描かれていない部分はおひとりおひとりが自分で考えて描く必要がありました。
下図をわざと不親切にすると初心者の方には難しいかなと悩んだのですが、出来上がった皆さんの絵を見るとどの絵も生き生きと筆が走っていて素晴らしかったので、私の下図で縛らず、ご自分で考えて描いていただいて本当に良かったと思いました。

感動あれこれ
ほっこりお菓子
会場につくと大きなお盆にお菓子が用意されていて、ホルベインさんのお心遣いがとても嬉しく、参加者さんたちもちょっと和まれたのではと思います。
私は気が小さくて緊張すると食べられなくなってしまうので、帰り際にチョコレートをふたついただいて帰りました。
アンケート
いちばん気がかりだったのが【参加者さんに喜んでいただけたのか】ということだったのですが、アンケートに皆さんが「楽しかった」「わかりやすかった」など色々感想を書いてくださり、自分で超えたいと思っていた合格ラインには達していたのでホッとしました。
開催後に備忘録を兼ねて学ばれたことを箇条書きにして公式LINEに送ってくださった参加者さんもいらして、お役に立てたのかなと嬉しかったです。
絵が好き
ワークショップの間、会場を見渡すと皆さんモクモクと絵を描かれていて、それはなんだか胸をうつものがある景色でした。
本当に絵がお好きなんだなぁと、翌日になってから思い出すと涙が出そうになるような。
忘れられない光景でした。

完成した絵も本当にすごく生き生きしていて、上手かどうかという問題でなくどの絵も私の見本よりずっと良い絵ばかりでした。
完成後のお写真を撮り忘れたのはうっかりでした。
本当に全員素晴らしかったです。良いものを見せていただいてありがとうございました。
感動だけでなく、自分自身については色々反省点もありました。
今回時間が少し超過してしまったことや途中けっこう駆け足で進めたこともあり、次回からはもう少し見本を工夫してゆったりめに進める工夫もしたいです。

4月のワークショップではこちらのバラを描く予定ですが、少し見本をアレンジしてより描きやすいものを準備しますね。
お申し込みはホルベインさんまで。
参加者さんたちにまたお目にかかれると嬉しいです。
今回事情があってキャンセルになった方も、またいつでもお待ちしています。
●ホルベインショールーム
TEL : 06-6763-0022 (平日10:00~17:00)
MAIL : ws☆holbein.co.jp (☆を半角@にしてください)