8月の展示に続き、2025年12月のシビュラ展【深淵に挑む(ノゾ)むシビュラたち】にもお声がけいただき、参加させていただくことになりました。
通称シビュラ展というのはご自身も作家であるギャラリー吉武の吉武祐一氏が企画、4カ月に1度開催されているグループ展です。
シビュラ展について詳しくは前回の記事をご覧ください。
今回は自身の絵画教室のオープンと日程がかぶることもあり、1点のみ出展することになりました。
この記事も当初は書かない予定でしたが、作品制作にあたって絵を描く前にコンセプトとなる詩が存在していたので、それは何らかの形で表に出してあげたかったのと、そういう物語を絵を見て興味を持ってくださった方にお伝えすることも作家のつとめなのかな、と思い記事を書くことにしました。


今回は「まぁるい絵の展覧会」という規定があったので、作品は楕円形に窓を抜いたマットを使用した額装にしています。
私の作品に使われる基底材(絵の下地に塗っているもの)はアトリエで色々なものを調合して作っていますが、実物は白くなめらかな質感なのに撮影するとガサガサで灰色っぽく映ってしまうという特徴があるため、掲載する画像と実際の作品の印象は多少異なります。
原画に近付けるために画像に編集を加えています。
作品紹介
2025年制作
アトリエオリジナルブレンドの基底材に不透明水彩(ガッシュ)、胡粉、パステル
額装時の絵のサイズ 楕円形 タテ最大221×ヨコ最大298mm

【楽園】
いのることは かんたんだった
それは いきをすることとおなじだから
にくむことは かんたんだった
ただ どうぶつのようにいればよかった
あいされることは とうぜんだった
それは かみとのやくそくだった
くらやみに しずみゆくものを みつめながら
なすすべもなかったひ
きこえるものに ささやき
みえるものに あらわれ
ふれられるものに ふれる
やがて
いたみは かがやきとなり
ながれるちは はなひらく
あいすることは かんたんだった
それは あなたとのやくそくだったから
作品の背景

私は絵を描くことが好きで、絵というものを使って社会とコンタクトをとり、課題や要望に応えるために必要に応じて作風も名前も替えて絵を描いてきました。
そして文章を使い、SEOというルールに沿ってテーマを選び、ブログ記事なども書いてきました。
出力のスタイルが複数存在し、それで足りなければアップグレードして別の形でも出力できるように自分を改造しながら生きています。
シビュラ展には前回から参加させていただいていますが、こちらに出展している絵画作品も詩も、本当は当分は出力することを自らストップしていたスタイルでした。
表に出すのはもっとずっと先の話だと思っていました。
私自身が壊れないようにするために。
私は絵を描くことは明確に好きなのですが、好きかどうかよくわからないけれど文字をやたらと書いてしまうという特性が子供のころからあります。
10代のころは言葉があふれて止まらなくなり、毎日のようにノートを買って1日か2日でノート1冊書ききってしまい、また買いに行くという状態でした。
それは衝動によって発生し、多くは思考によらない形で現れ、クオリティはともかく詩の様相をしていました。
書いているとき、何を書いているのか本人は分かっておらず、ペンが止まってから自分で読んで内容を知るという感じです。
「自動筆記って知ってるか?」
私のノートを見た美術の先生に聞かれ首を振ると
「こういうのって本当にあるんやな」と言って、シュルレアリスムの特集の本をドサッと貸してくれ、ダダイズムにハマってしまう浮いた学生でした。

それは一種の恍惚です。
とめどなくあふれる、私の意志ではない言葉。
私とちがう物語。
それは悪魔的な快感を伴います。
絵を描くときの禅のような心地よさとは別の世界。
書けば書くほど研ぎ澄まされる感覚。
鈍感でちょうどいいくらいのこの世界で、無防備に鋭敏になりすぎるのはキケンです。
人のココロはこわれやすいものだから。
やがて、私はこの世界で生きていくために詩という出力方法を止めました。
私はいま講師という立場になり、それにふさわしい立ち居振る舞いや人間性が求められるようになりました。
自己成長のために私は喜んで学び反省し行動する毎日を送っています。
大切なひとたちやプレッシャーやストレスと向き合いながら。
バランスをとらなくては。
こわれてしまわないように。
そんな時に声をかけてくださったのがギャラリー吉武の吉武祐一さんでした。
詩のスイッチはまだ生きていますので、短時間だけオンにして詩を書き、自分の中のスイッチをまた切って日常に戻ります。
もう17歳ではありませんから、毒になる前に書くことをやめることも出来るようになりました。
今もやはり詩を書いているときは自動的に一種の恍惚状態になり、何を書いたのかはペンを置いてから読んで知ります。
こういった形で発表するにあたり、多少リズムを整えたり、誰かを傷つける可能性のある表現を別の言葉に変えることはあります。
詩を書くキッカケになるものは音楽や映像、単語などで、今回は【楽園】というタイトルだけが先にあり、詩が生まれ、そこから絵のイメージを膨らませて作品を描きました。
このやり方は前回のシビュラ展の作品でも行っています。

私は叱られるような詩や絵を描くMIRAが好きですが、この世界で生きていくためにカメレオンのように絵も肩書きも時に作家名もきり替えながら、明日も絵を描いていくでしょう。
MIRAがこんな作品もまた作り続けられるように、応援していただけたら嬉しいです。
このような機会をくださった吉武様、ご一緒させていただく作家の皆様、ありがとうございます。
















会期:12月8日(月)→12月14日(日)
10:00~18:30 (初日は13:00~、最終日は13:00まで)
■オンライン販売
12月9日以降、営業時間後~翌営業時間前にギャラリー吉武のショップにて販売。
会場:ギャラリーくぼた 本館5階
〒104-0031 東京都中央区京橋2-7-11
TEL:03-3563-0005
アクセス:東京メトロ 銀座線 京橋駅 6番出口より徒歩1分
都営地下鉄 浅草線 宝町駅 A5出口より徒歩1分
JR東京駅 八重洲南口より徒歩10分