絵画のタイトルをどのように決めていますか?
カッコ良いタイトルにしようとか、おもしろいタイトルが良いとか、むしろ「無題」のほうが好きとか、タイトルなんて何でも良いから展覧会の前に適当につけちゃったとか…。
私は文章や詩など言葉そのものが好きなので、もともとは絵画のタイトルもちょっと面白い雰囲気のするものが好きなのですが、実際に絵画を画廊でながく販売していると、お客様は絵画のタイトルを見ていないようで意外とちゃんと確認してから購入されているということに気が付きました。
絵画を販売したいと考えている画家さんは、タイトルを適当につけてしまうと勿体ないですよ。
上手につけると売れるときの決め手になることもある絵画のタイトルについて、お話しします。
もくじ
売れない絵画のタイトル
そのタイトルを付けてしまったが為に、絵画が売れる機会を逃してしまうタイトルがあります。
暗い、ネガティブなイメージのタイトル
絵画を売れなくさせてしまう筆頭は暗い、ネガティブなイメージのタイトルです。
そもそも絵画って自宅用にしろ贈り物にしろ、基本的にお祝いのタイミングで購入される方が多いです。
新築だとか、子供が生まれたとか、開業とか、○○周年記念とか。
お祝いなのに、絵画のタイトルが「○○の苦悩」とか「○○の憂鬱」とつけられていたら…たとえその絵が素敵でも、やっぱり他の絵にしようと多くのお客様は考えます。
多くの人は自分の部屋にネガティブなタイトルの絵画をかけたくはないものです。
実際に画廊で働いていたとき、ネガティブなタイトルがついた絵画はお客様にはすすめにくく、贈り物でお探しの方には別の絵をすすめるようにしていました。
お祝いなのにネガティブなタイトルの絵を贈ったりしたら、もらった側は「どうしてこれを…?」とスッキリしない気持ちになってしまうかもしれません。
暗いタイトルの絵画を贈り物にするのは要らぬトラブルの元。
売れる機会をかなり逃してしまうため、圧倒的な世界観と人気がある作家さん以外にはオススメしません。
絵を売りたい画家さんは避けた方が良い絵画のタイトルの付け方です。
意味不明なタイトル
絵画のタイトルはわかりやすい方が売れやすいです。
その作家さんの世界観にもよるとは思うので、その意味不明さがその作家さんのキャラクターをよく表しているようなものならファンにはうけるかもしれませんが、一般的には「ようわからんな」となってしまいます。
絵画を購入される方というのは、普段からアートにどっぷり漬かっているタイプの人ばかりではありません。
むしろ、ピカソやシャガールならわかるけどカンディンスキーって誰?みたいなお客様の方が多いかもしれません。
わかりやすいものを好まれるお客様はとても多いです。
わかりにくいという意味で「無題-No.7」みたいな無機質なタイトルも、どちらかというとソンな絵画のタイトルのつけ方だと思います。
売れる絵画のタイトル
売れない絵画のタイトルが暗くてネガティブ、わかりにくいタイトルですので、売れる絵画のタイトルはその真逆です。
明るく幸せなイメージのタイトル
誰にでも好まれるのは、絵画のジャンルに関係なく幸せなイメージのタイトルです。
たとえば「幸せなひととき」とか「あたたかな午後」とか、何だか光が差すような明るくポジティブなイメージ。
幸せな雰囲気のする絵画のタイトルの付け方は、自分用にもプレゼントにも間違いなく人気でオススメです。
縁起が良いタイトル
幸せなイメージの一種ですが、縁起の良い言葉を絵画のタイトルに入れるのも人気があります。
わたしは師匠と一緒に吉祥画のショップを運営していますが、「吉祥○○」とか「招福○○」などをタイトルに使っています。
風水や縁起を大切に考えて生活している方は、たくさんおられます。
縁起が良いということがとてもわかりやすいですし、贈り物の場合でも、もらった人は嬉しいですよね。
洋風なものなら「Happy○○」にするとか、和洋関係なく言葉は色々あると思います。
感謝を込めたタイトル
わかりやすい絵画のタイトルの中でも「ありがとう」や「大切な友達」のような感謝の意味が込められたタイトルは誰にでもわかりやすく、贈り物にも人気です。
注意が必要なのは「お母さんありがとう」とか「父の日」のように対象をしぼりすぎてしまうと「この絵は母の日用か」と、他のお祝いに選んでもらえなくなることがあります。
地名を入れたタイトル
これは風景画のタイトルの場合ですが、まず風景画というのは綺麗だから売れるという他に、その場所に思い出があるからほしいという人が実はかなり多いのです。
絵画を見て一瞬でどこそこの絵だとわかる場合も多いですが「カフェの賑わい」とつけるより「モンマルトルのカフェ」、「修道院の朝」とつけるより「モンサンミッシェルの朝」と具体的な地名をつける方が「おぉ~、ここ行ったなぁ~」とより強い興味をもって見ていただけます。
地名を書いていない場合、接客中に「これはモンマルトルのカフェなんですよ」と説明して初めて「あ~あったあった、あの角の所にあるカフェやろ」と気が付いていただけるということも…こちらから言わなければ気が付かずに素通りされてしまったかもしれません。
地名を入れるというのはあなたの絵を見る方にとって親切で、売るときにもプラスになる絵画のタイトルの付け方です。
ECサイト(通販)で販売するときの絵画のタイトル
画廊などで絵画を対面販売するときも通販の場合も、基本的にはこれまでお話ししたようなタイトルがお客様には喜ばれますが、ECサイトに限っては絵画のタイトルを付けるときに気をつけることがあります。
それは「検索される」言葉を入れること。
これはGoogle検索などの結果を意識したものというより、沢山の作家さんを抱える大型販売サイトを利用する場合や、独自サイトでも登録作品数が多い場合、そのサイト内で作品を検索した結果に表示されるからです。
こういったサイトではタグなども用意されていますが、タイトルに「赤富士」とか「ヒマワリ」とかモチーフ名が入っていると見つけてもらいやすいですよね。
さきほどの風景画の話の続きになりますが「奥入瀬」とか「京都」など、ECサイトでははじめから目的をもって絵画を探しに来ている人もいることを想定し、地名はぜひとも絵画のタイトルに入れましょう。
まとめ
絵画の接客は30分以上の長時間になることもよくありましたが、タイトルが決め手になって購入されたということは何度もありました。
売れる絵画のタイトルはわかりやすさ重視。
ただ、作家さんによってはご自身の世界観を大切にされている方も沢山いらっしゃると思います。
先にご紹介した例は本当に直球な言葉を選んだタイトルですが、たとえば恋人を描くことで有名なレイモン・ペイネの作品は「夏のボート遊び」とか「恋のカクテル」など、直球過ぎないけれど幸福を感じることの出来る素敵なタイトルがつけられています。
人気のあるタイトルの要素を上手にご自身のイメージに変換すれば、「いかにも直球」にしなくても十分伝わるタイトルにすることが出来ます。
日本では絵画はお祝いや縁起、風水、癒しなどを求めて購入される方が多いので、その絵画を手にした人の幸せを祈るようなタイトルを付けることがオススメです。