絵画やイラストを描く人に必要な配色のセンスはどうやって磨くか、という話をします。
リスト化した手堅い記事を書くつもりにしていた矢先、友人からセンスの爆弾みたいなお洒落なプレゼントが送られてきました。
色彩の参考書にあるような理屈より、プレゼントを見たときに感じた「やっぱりこれが最強」と確信した方法についてお話ししようと思います。
もくじ
配色のセンスって何?
絵画やイラストを描くときの配色のセンスってそもそも何のことかと言うと、色の組み合わせやバランスが美しいと感じる感性のこと。
感性と言ってしまうと裏打ちのないいい加減なもののように聞こえますが、理論とセンスのちがいは何かと言うと、同じものを言語で理解するか言語以外の感覚で理解するかというちがいで、実際に見ている方向は同じものだと思います。
たとえば方程式を解くとき、学んだ通りに考えると途中の式がすっ飛ばされていきなり答えが出てしまう、という人がいませんか。
答えは合っていて本人もわかっているのですが、式に書き出す方がややこしく時間もかかってしまうという不思議なことがありますが、センスというのはこれに似ていると思います。
理論から入ろうとセンスから入ろうと同じところに向かっているので、どちらでもあなたが理解しやすいやり方から配色については身につけていかれると良いと思います。
センスから入って理論で理解を深めるのも良し、理論から入って実践しながらセンスとなるのも良し、センスと理論が両方揃えば鬼に金棒です。
さて、絵画やイラストは何が描かれているかと同じくらいかそれ以上に、パッと見たとき色が魅力的だと印象に残ります。
人の心をワクワクさせるような配色を使いこなすセンスを持っていることは、画家やイラストレータにとって強みになります。
配色のセンスの磨き方
絵画やイラストの為の配色センス、素敵な画集や写真をたくさん見てくださいというのは当然ですが、真面目にコツコツそういったものから学ぶより、強烈にあなたのセンスを磨く方法があります。
配色のセンスは沼にハマって磨く
絵画やイラストの配色のセンスを磨く方法、それは視覚的に訴える分野の何かにハマることです。
ファッション全般、ヘアメイク、ネイル、インテリア、雑貨、建築、園芸、フラワーアレンジメント、映画、音楽PV、漫画、アニメ、コスプレ、写真、車、宝飾品、アンティーク、料理、食器、陶芸、ステンドグラスなどなど…。
絵画やイラストである必要はありません。
ハマるというのは、インスタなどで見て良いなと思ったりピンタレストでボードに保管するとかいう程度では全然足りません。
好きで好きでどうにかなりそうなくらい好きすぎるものが良いのです。
他人がバカにしてくる、否定してくる、どうかしてるくらい好きなものをとことん楽しんでやることが最強にして近道ではないかと思います。
なぜ絵画やイラストと違うもので良いかというと、配色のセンスというのはどの分野から入っても結局はつながっているからです。
見て集めるだけでなく、自分の手で作ったり身につけたり、実際の生活に取り入れられるものが強いと思います。
ハマったものが、どう配色センスに活かされるか
私の場合はもともとファッションが強烈に好きだったのですが、周りと全然違う服装ばかりしていたので笑われたりキモイと言われたり、通り過ぎざまに道に唾を吐かれたり…もちろん家族の理解もありませんでした。
それでも自分の人生なので、とことん好きな服を工夫を重ねながら着続けているうちに、シルエットやトータルで見たときの配色のバランスなども身についていき、罵詈雑言とともに賞賛の言葉も降ってくるようになったという経験があります。
別の記事にも書きましたが、配色のセンスには色の組み合わせの選び方だけでなく、どの色をどのくらいの割合で使うかというバランス感覚も必要です。
衣服の場合は、色の組み合わせが良くても割合のバランスがイマイチだと、即スタイルが良く見えないという形になって自分でも気が付きやすく、それは結構切実な問題であるだけに、配色のセンスを磨きやすいものの代表格だと思います。
例えば同じ色だけでまとめても異素材で見せるコーディネートについては、配色のセンスだけでなく絵画やイラストのマチエール作りにもつながります。
ネイルの場合は、たとえ自分の好きな色でも、自分の手の色と合わないということがわりと頻繁に起こります。
なぜこの色が合うのか、又は合わないのかを理解するとき、微妙な色の相性について学ぶ機会になります。
メイクの場合はアイメイクに力を入れたときはリップは控えめにしたり、逆に真っ赤な口紅を引いた時にはアイメイクは抜け感を作ったり…アイブロウの色は髪の色と同系色にしたりと、メイクする人ならいつの間にか色の組み合わせやバランス感覚を身につけていると思います。
黒髪だから靴も黒にしようとか、部屋の壁の色とカーテンや家具の色、お花の寄せ植えやブーケの組み合わせなど、どれも色のセンスを磨いてくれるものばかりです。
なぜ沼にハマる方が良いのか
色彩についてコツコツ勉強したり、メイクなども特別ハマらなくても毎日しないといけないと、ある程度は配色のセンスは身に着く部分はあると思いますが、ハマったときの情熱とインプット力のすさまじさとは大きな隔たりがあります。
私は一番ファッションにハマっていた頃、自分のコーディネートにわずかでも気に食わないところがあれば死にたくなるというのめり込みようでした。
とても愚かでおかしいと思うのですが、そのくらいハマったからこそ、ファッションに関する情報を次々集めて吸収しまくるということが苦にならず、出来たのだと思います。
他の人から見てどうかしてると思うほどハマっていることがあったら、それは恥ずべきことでなく、あなたの強みです。
特にファッションの場合は一生懸命になると必ず「見た目より内面を磨いたら」というような横やりが入るものですが、気にする必要はありません。
好きなことからは多くを吸収し身につけることが出来ます。
好きだからこそより良くしたい、もっと素敵にしたいという気持ちと工夫が配色のセンスを磨く原動力になるのです。
ハマるものがない場合の配色センスの磨き方
ハマった方が良いとは言っても、差し迫って今ハマっているものがないという場合は、自らどんどんビジュアルに関する情報にアクセスし、資料を集めてインプットしてください。
そしてパッと見てお洒落な色づかいだと思ったものの色の組み合わせを使って、自分でもどんどん絵を描いてみてください。
配色については商品表示性といって、その色の組み合わせから特定の商品が連想されるような場合には模倣することは避けた方が安全ですが、基本的には配色のみであればマネしても問題になりません。
良いなと思った写真や作品がどのような色をしているかよく見て、同じような配色で絵画やイラストを描いてみると実感として感覚がつかめますので、センスを磨くのにオススメです。
まとめ
ビジュアルに関わる分野であれば、好きで好きで仕方のないものを突き詰めると必ず色彩、配色の課題にぶつかります。
そして配色のセンスという課題にぶつかる分野はとても幅広くあります。
そのどれかにハマり、磨いた配色のセンスは他の分野でも応用が利くため、絵画やイラストを描くとき大いに役に立ってくれます。
センスとは具体的には、お洒落とかキレイと思った配色をどんどんマネして失敗もしながら身についていくもの。
絵だけに固執せず、好きなものにとことんハマって楽しく工夫を重ねることが、あなたの配色センスを強力に磨いてくれると思います。