絵の練習、何からはじめる?|絵を楽しんで描きながら上達する方法

絵の練習を何からはじめよう、と考えている人へ。

絵が上達するためには大変な練習が必要と思っていませんか?

私は子供の頃から絵が大好きで美術の大学に進学し、ギフトを扱う企業から似顔絵の注文を受けて描いたり、吉祥画を描いて販売したりしてきましたが、「絵を練習した」という記憶はほとんどありません。

絵は上達したいけど「絵はどんな練習が必要で何からはじめたら良いかわからない」というカチコチの考えをほぐし、楽しく絵が上達する方法についてお話しします。

絵の練習はつまらない

絵を「練習」するというのは、たぶんつまらないと思います。

私は子供のころに10年ほどピアノを習っていましたが、バイエル、ツェルニーなどの練習曲は本当に弾いていて何が楽しいのかわかりませんでした。

音楽も絵も感性や心が動いてこそ楽しいものなので、「練習のために練習する」と嫌気がするほどつまらないものになってしまいます。

つまらないものを続けるのはしんどいです。

絵の上達というのは確かにコツを掴んでぐっと良くなる時期はありますが、基本的に長い時間かかるものなので、楽しくなければ続けられません。

「絵を練習する」という考えを、ちょっと変えてみませんか。

何から練習すると 絵が上達するか

絵の練習というとデッサン、クロッキー、模写…そういったものを連想しますが、何からはじめれば良いかというと、練習などと考えずにまずは「好きなものを描く」ことです。

「ワァ、この絵好き!こんな絵描きたいな」と思ったものをマネることから始めると良いと思います。

模写という言い方も出来ますが、堅苦しく考えずに楽しんでマネして描くことです。

私の場合は何から描きはじめたか思い出してみると、はじめのうちは好きなマンガのキャラクターを一生懸命描いていました

模写とか練習という思いはなかったし、ただただそのキャラクターが好きで描きたかったし描くのが楽しかったように記憶しています。

そうは言っても難しい、何からどう描いて良いかわからないという場合は、好きな絵の一部だけをマネして描くというのがオススメです。

人物の顔だけ描いてみるとか、鳥だけ描いてみる、車だけ、花だけ、草原だけ、チョウチョだけ…。

私もはじめはキャラクターの全身ではなく顔だけ⇒顔が少し描けるようになったら上半身⇒上半身に手をプラス⇒全身という順序を自然にたどりました。

絵は完成出来ないとガッカリしてモチベーションが下がってしまいがちなので、出来るだけ描くものを限定したところから始めて「描けた」と思えると楽しく続けられます。

初心者の人はイチから描くのが難しければ塗り絵でも良いので、まずは楽しいと思えるものから描いていけばいいと思います。

私の場合、好きなマンガのキャラクターを描くことから始め、体を上手に描きたくて人体の解剖図などを楽しく眺めクロッキーやデッサンをし、色を塗り、自分もマンガが描きたくなってコマ割りを考えることでインパクトのある構図の作り方を学び、画面にボリュームを出すにはコントラストやグレーの階調を増やすことと気が付き、背景を描くために二点透視や三点透視を覚えていきました。

好きで楽しかったので学ぶことは全く苦でなく、今はマンガを描きたいとは思っていませんが、あのころ一生懸命描いていたときに身についた技術は今も生きています。

絵の練習が必要?と感じたら

好きなものから描き始めると楽しいですが、ちょっとやそっと描いただけではマネした元の絵と同じようには描けませんよね。

そんな時に「やっぱり絵の練習が必要なのかな?」と思い始めるかもしれません。

そう思ったら、自分が絵を描くとき、どの部分に苦心しているのか気付くことが大切です。

形をとることが難しいのか、出したい色が出ないのか、立体感が出ないのか…などつまづいていることが何かわかれば、デッサンをしてみようとか混色の研究をしてみようとか、次にすることが見えてきます。

絵を楽しく続けるためには先にアカデミックなカリキュラムで練習することから入るより、描きたいものがあって、それを描くために必要なことを学んでいく順番のほうが精神的にしんどくなく、「描きたいものが描けるようになった」という喜びで楽しく上達出来ると思います。

自分が何につまづいているのかわからないときは、絵の先生や絵の上手な人に訊いてみるのもおすすめです。

絵を練習しなくて良い理由

私が絵を練習した記憶がないのは、「練習している」という意識で描いたことがほとんどないからです。

練習した記憶があるのは受験対策のデッサンを別にすると、中学の美術のテストで運動靴のデッサンがあるというのでテスト前日に描いてみたのと、美大の受験の実技で描く絵を前もって描いて決めていたこと、絵を教えに行くときに生徒さんへどう教えたら良いか前もってシミュレーションしたぐらいだと思います。

受験対策のヒントはこちらの記事もどうぞ。

私は基本的に練習用と思って描き始めることはなく、はじめから額縁に入れて展示しようとか販売しようというつもりで描き、気に入らなければ捨ててしまいます。

楽しいからモクモクと描き、必要な技術だからモクモクと取り組んで手に入れていくという積み重ねです。

ある程度絵が描ける人は練習と思わず、はじめから「作品を作る」と思って描くと楽しくて良いと思います。

上手く描けなくて捨ててしまっても、それはしっかり練習になっています。

まとめ

絵の練習は何からはじめようと思ったら、とにかく好きで仕方ないものから描いてみること。

つまづいたところを学ぶこと。

学ぶ方法は今はYouTubeもありますし、参考書でも教室でも良いと思います。

ただデッサンに関してだけは経験上、リアル教室に行く方が効率的かなという気はします。

画像になった時点で物の質感や奥行感がとんで掴みにくくなるので、写真などからデッサンを描き起こすのには限界があります。

胸像や人物モデルなんてなかなか自分ひとりで用意できないですし、デッサンは必ずしも自分の描きたい絵というわけではないこともあり、ひとりでモクモクと描いているとしんどい時もあるので、絵を描く仲間のいるところでリアルなモチーフを描くのはおすすめです。

トレースで絵の練習をするという方法もありますが、これは初心者にはあまりオススメしません。

まずはよく観察して自分の手で描くところからスタートしてみてください。

絵を描きはじめたころは誰でも上手に描けなくて当たり前です。

どんなに上手な人もはじめは初心者だったはず。

SNSにのせても反応が少なかったり、上手な人がうらやましくなったりすることもあるかもしれませんが、外野の反応よりも自分の中の「描けた」という喜びを大切に描いていったら良いと思います。

楽しみながら上達する秘訣、それは絵を練習しようと思わないことではないかな。

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ミラデザイン画家
似顔絵肖像画を描いたり師匠のアシスタントをしながら制作活動をしています。好きな画材はポスターカラー、不透明水彩、日本画の絵の具。琳派とヨーロッパアンティーク風の絵が好きです。画家活動や画廊で長く働いた経験から得た、絵の描き方やリアルなアートの話のほか、生きづらくて苦しんだ後にたどり着いた、前向きでラクな考え方や肩の力を抜いた楽しい生き方についても書いています。