トレースはイラストの練習にならない?|意味あるトレースの練習法

トレース(トレス)はイラストの練習にならない?

いいえ、そんなことはありません。

もしあなたがトレースが練習にならないと感じているとしたら、「やり方に問題がある」「トレースより先に学ぶことがある」か、「トレースで練習する必要がないくらい描く力がついている」かのどれかです。

トレースでイラストの練習がしたい場合は、何のためにトレースしているのか理解して意味ある練習にしていきましょう。

トレースがイラストの練習になる理由

とくに人物を描くとき、トレース(トレス)するとイラストの練習(勉強)になると思います。

もともと私も人物を描くのが好きだったので、学生の頃はファッション雑誌(その頃はInstagramもピンタレストもなかった)の綺麗なモデルさんを見てよく絵を描いていたのですが、人体の骨格や筋肉の付き方などを勉強していてもしっかり形をとることって難しいなと感じていました。

ミラ

あ~しんど

一回なぞって描いたろ…

フトした思い付きというか半分やけくそで写真にトレーシングペーパーをのせてトレースしてみたら、気が付くことがたくさんあり、「これ、めちゃくちゃ勉強になる」と目からウロコが落ちました。

具体的に言うと、肩の外側は形をとれるけど内側のワキはどうなってるの?(どこから腕なん?)とか、オッパイってどこからはじまるの?とか、ウエストのくびれる角度は思っているよりズンドウ気味っていうこととか、肩から二の腕にかけてのカーブもたいしてカーブしていなかったとか、スーッと写真をなぞっただけで「そうやったんか!」という発見の連続でした。

トレースがなぜイラストや絵画の練習(勉強)になるかというと、写真やお手本となるイラストをトレースすることで自分で気がついていなかったデッサンの狂いや悪癖に気付き矯正できるからです。

たとえば可愛い女の子のイラストを描きたいけどあんまり可愛く描けないとしましょう。

憧れるような可愛いと思うイラストをトレースしてみると、自分が描いている絵とどう違うかがよくわかります。

目の大きさが違ったり顔のどの位置に目や眉毛があるか、おでこの広さや顔の幅、あごの長さなど、ただ目で見て観察するよりトレースしてみることで、より多くのことを発見し学ぶことができます。

イラストや絵画を勉強するときに先生に添削してもらうと上達が早くなるということがありますが、なぜ先生に見てもらうのかというと「自分の絵のどこをどうしたら良くなるのかわからない」「どこがアカンところなのかわからない」「ここが上手く描けないというのはわかっているけど、どう描けば良いかわからない」ということだと思います。

トレースの場合は正しい形をとることや魅力的に見える形にするという目的に対して、どこの形が狂っていてどこを変えたら魅力が出るのかを知ることができます。

つまりトレース(トレス)とは、先生に聞く代わりに改良すべきところを自分で見つけ、どう修正したら良いかという正解も同時にわかる、というイラストを独学で描く人にとって強力な学習ツールになるのです。

トレースでイラストの練習をしてみよう

トレース(トレス)でイラストの練習をするときにオススメの素材は描きたい人の写真、憧れのイラストなど、あなたの好きなものを選ぶと楽しく学ぶことができます。

トレースするにあたって著作権はどうなのかというと、練習のために自分ひとりでなぞって描くぶんには心配する必要はありません。

それをSNSに投稿するなど公開するのはやめてくださいね

トレースはトレース台を使っても良いしトレーシングペーパーを使っても、どちらでもやりやすい方法で大丈夫です。

もちろんデジタルでもOK。

基本的にはシルエットをなぞっていくことになりますが、人物を線画のイラストでなく多面体として理解したい場合は、ザックリとした影もひろってトレースします。

写真やイラストをトレースするときに気を付けることはどこがどうなっているか理解しながらなぞることです。

骨がこうきて関節はこうなってるとか、筋肉がこうなってる、骨盤の角度はこうとかいう情報をスキャンするつもりでトレースしていきます。

練習にならないトレースとは

トレース(トレス)をしてもイラストが上手くならないから意味ない、練習にならないという人がいたら、大抵やり方を間違えているのだと思います。

トレースってなぞるだけだから間違えるってどういうこと?と思われるかもしれません。

絵(イラスト)が上達するというのは描くことと考えることがセットになっています。

考えながら描かないと練習にならないのですね。

考えるということをおろそかにしてただトレースすることを毎日続けたとしても、それはあまり意味のない練習になってしまいます。

考えながらトレースしているつもりでも「そういうことか」という発見がほとんどないという場合、それもあまりイラストや絵画の練習にはなっていません。

その場合はトレースをするよりまずデッサンやクロッキー、模写の勉強をする方がオススメです。

デッサンを省いてトレースだけで物の形がとれるようになるかというと、描く絵によるかもしれませんが、ちょっと厳しいんじゃないかな。

デッサンやクロッキーというのはやはり絵の基礎になる部分なので、まずはデッサンやクロッキーをして、人間の体がどういう風になっているかという構造をある程度理解した上でトレースをすると、学ぶところが多いと思います。

まとめ

トレース(トレス)というのはイラストの練習に良い方法ですが、メインの練習ではなく補助的な練習と考えてみてください。

まずはデッサンやクロッキー、模写などで勉強し、トレースは答え合わせのような感じでやってみると理解が深まりおススメです。

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MIRAデザイン画家
絵が上達したい・自分の描いた絵を売ってみたい人へ、上達のヒントや画家活動の悩みの解決方法、画材などについて発信しています。 以前は画廊に勤め毎日絵を販売していました。 現在は師匠と吉祥画を制作販売したりリアル系似顔絵の注文を受けたり、絵画講師をしながら独自の支持体を使って絵を描いています。 ブログに書ききれない情報はメルマガで。 本気で上達したい人向けの水彩画のテクニック講座が気になったら、おトクなオープニング価格のうちに体験してみてくださいね。(好評です) 11月29日~12月1日に大阪で個展を開催。 あなたのお越しをお待ちしています。