ポスターカラーはフラットなベタ塗りが得意な絵の具ですが、グラデーションもキレイに描けます。
グラデーションが上手く作れないという初心者の方でも、5つのコツを守るだけでポスターカラーでキレイなグラデーションを描けるようになります。
単色で水だけで作る水彩画らしいグラデーションと、多色使いで描くグラデーションを描く方法について説明します。
もくじ
ポスターカラーで描く 単色グラデーション
単色のポスターカラーでグラデーションを描くやり方です。
紙の表面を全体的にぬらします。(にじみ止めの弱い紙はぬらさなくて良い場合もあります)
水たまりの様にならず、ある程度紙に水分が沈んで表面がしっとりした状態になったら、ポスターカラーを塗り始めます。
刷毛か平筆を使い、筆を左右にくりかえし往復させて塗っていきます。
絵の具がぬれているうちに素早く筆を持ち替え、描いた部分の端にかかるよう水を引きます。
絵の具は水に引っ張られて勝手ににじんでいきます。
紙を立てて絵の具を下に流すようにすると、大きくにじませることが出来ます。
様子を見ながら端に水を引き、にじませてグラデーションにします。
紙を立てたときはポスターカラーのにじみがグラデーションの表情となりますが、表情を出来るだけ作りたくないという場合は、紙は寝かせたままで水を引き、刷毛を左右に往復させながらなじませていくとフラットな雰囲気のままキレイなグラデーションが作れます。
ポスターカラーで描く 多色グラデーション
グラデーションはぬれている間に描く必要があるので、多色使いでグラデーションを描くときは予め使う色を全てパレットや絵皿に溶いて準備しておきます。
単色の時と同じように紙を湿らせ、一色目を塗ります。
一色目がぬれている間に次の色を塗ります。
隣り合う色の境界のあたりも、刷毛を左右に往復させてよくなじませると、自然な感じでキレイなグラデーションが出来ます。
完成。
ポスターカラーでグラデーションを塗るコツ
グラデーションをポスターカラーでキレイに塗るための5つのコツには、道具の工夫と技術的な工夫があります。
グラデーションのコツ ①刷毛を使う
ポスターカラーに限らず、広い面でキレイにグラデーションを作るには、刷毛を使います。
小さな絵の場合は平筆でも良いですが、刷毛をオススメします。
水の量や紙の種類にもよりますが、わずかに塗りムラが残ることはあります。
左右に往復した回数が多いほどスジとなってムラが出来る可能性が増えるので、平筆より幅の広い刷毛の方が、たとえムラが出来たとしても少しで済みます。
ムラのない絵はそれだけであか抜け、上手に見えます。
グラデーションのコツ ②紙
グラデーションだけに限らないのですが、使う紙によっても描きやすさやキレイに描けるかどうかというのは変わってきます。
ポスターカラーはやはり水彩紙の質の良いものだとキレイに描けます。
グラデーションの場合は特に、ムラをなくすために刷毛を何度も走らせますので、紙が丈夫なこと、絵の具や水分がスッと紙にしみ込みやすいことが大切です。
こちらはしみ込みにくい紙で描いた時の画像です。
水が表面に長くとどまるため絵の具が水っぽくなり、重ねて塗ると先に塗った絵の具が動いてスジがついてしまい、塗りにくいです。
紙の銘柄の他、厚さや目の粗さも関係するように思います。
目の細かいものや薄い紙(グラム数が軽い紙)は、絵の具を吸い込める量がやや少ないように感じるので、中目で厚みのある紙が描きやすいと思います。
ラングトン、モンバル、ウォーターフォード、ホワイトアイビスなどは、キレイにグラデーションが描けました。
ポスターカラーのグラデーションには、重ね塗りのしやすい紙が向いています。
グラデーションのコツ ③水張り
絵の背景など全面的にグラデーションを描く場合は、水彩紙もかなり波打ちます。
紙がボコボコに波打ってしまうと、凹んだところに絵の具がたまってしまい、思うようなグラデーションが描けなくなります。
ポスターカラーで広範囲のグラデーションを描くときには、必ず水張りをしましょう。
グラデーションのコツ ④刷毛の動かし方
ポスターカラーに限らず、広範囲のグラデーションを描くときは刷毛をあちこちランダムに動かさず、左右に何度も往復させるように動かして描くのがコツです。
横方向のグラデーションの場合は刷毛を上下に動かすのでなく、紙を置き直して刷毛は左右に動かすほうが描きやすいです。
グラデーションのコツ ⑤色の組み合わせ
多色使いのグラデーションの場合、お互いになじみの良い色にしておくと、自然でキレイなグラデーションになります。
色相の近い同系色にしたり、色相が異なる場合でも色調(トーン)を合わせるとキレイに描けます。
まとめ
いかがでしたか。
ポスターカラーでキレイなグラデーションを描くには、配色を合わせ、水張りした描きやすい紙に刷毛を何度も往復させて描くのがコツです。
もし、刷毛を使って丁寧に描いているのに上手く描けないというときは、紙を疑ってみてください。
ある程度描き慣れてくると、少々描きにくい紙でも工夫して描くことは出来ますが、紙を変えただけであっけなくキレイに描ける場合もあります。
ポスターカラーで出来る他の技法についてはこちら。
オススメのポスターカラーについては、こちらで詳しく解説しています。
ポスターカラーや不透明水彩を使って描いた絵の個展を開きます。
この記事でご紹介したのとはまた異なる雰囲気のグラデーションがある作品も多数見ていただけますので、どんな表現が出来るのか気になる方は、ぜひ原画を見にいらしてください。