マスキングはなくても絵は描けるかもしれませんが、あるとあなたの絵の描き方が変わります。
描き方が変わるだけで、絵はあか抜けます。
あなたの絵をもっと素敵にしてくれるアイテム、マスキングの種類やマスキングの出来る紙、マスキングのやり方とコツまでご紹介していきます。
もくじ
マスキングとは
マスキングとは絵を描く製作途中でマスキングシートなどを使い、色がのってほしくない部分をカバーすることです。
白く残したい部分、部分的に特殊な技法で描きたいときや、刷毛などでまわりを一気に塗りたいとき、透明水彩では光の当たっているハイライトの部分などに使います。
例えばモチーフを描いて、モチーフをよけるように周りの色を塗ると、筆ムラが出来やすいです。
そんな時にマスキングを使うと絵がスッキリと仕上がり、あか抜けた印象になります。
マスキングの種類
画材として販売されているマスキングにはテープ状、シート状、液体状、ペンタイプがあります。
描き方によっては画材を使わなくても、画用紙や厚紙を切り抜いたものなどで代用出来ることもあります。
マスキングテープ
テープタイプのマスキングは、水平線など直線をキレイに塗り分けるときに使うと便利です。
マスキングシート
ロールタイプのマスキングシートには透明タイプと紙タイプがあります。
紙タイプはマスキングの上に直接絵を描いてカットすることが出来ます。
透明タイプは紙に貼った後、透けて見える下図に沿ってカットします。
広い面積を覆いたいときに便利。
大抵の人は絵を描く紙に先に下図を描いていると思うので、透明タイプの方が使いやすくてオススメです。
透明タイプには水彩画など一般的に絵画を描くときに主に使われる低粘着タイプと、外壁などにも使えるような強粘着タイプがあります。
マスキングインク(マスキング液)
液体タイプのマスキングインクは筆につけて描きます。
どちらかというと複雑で細かな部分に向いています。
液体状のマスキングインクが乾くと、ゴム状の被膜が出来ます。
私が使っているのはホルベインのマスキングインクです。
ちょっとゴムのニオイはするけど、それほど気にはなりません。
マスキングをはがすときは、消しゴムやラバークリーナーを使ってはがします。
ミツワのラバークリーナーはシートタイプとロールタイプがあります。
私はロールタイプを切って使っていますが、繰り返し使えます。
マスキングペン
ペンタイプのマスキングインク。
細かな部分を白く抜きたいときに便利なようです。
ただ、細かなハイライトなどは不透明水彩やポスターカラーで後から描いてしまえるため、私は使いません。
透明水彩だけで描きたい場合には重宝するかもしれません。
液が固まって最後まで使えなかったという声を聞くので、開封したら早めに使うのが良いようです。
マスキングが使える紙
マスキングは絵を描く紙の表面にシートや液を軽く接着させますので、表面の弱い紙だとマスキングをはがすときに紙の繊維ももっていかれてボロボロになります。
私のよく使うウォーターフォードやラングトン、ワーグマンには使えています。
鳥の子はマスキングシートならギリギリ使え、マスキングインクは無理でした。
ホルベインさんのHPで確認しますと、アヴァロン、ストラスモアインペリアル、ホワイトアイビスも適しているようです。
高級水彩紙のアルシュはもちろん、ケント紙にも使えます。
マスキングのやり方
マスキングの実際のやり方について、詳しく見ていきましょう。
マスキングのやり方 マスキングシート編
絵にマスキングシートをかぶせて軽くおさえて紙にくっつけ、下図にそってカットします。
シートだけをカットし、紙まで切らないように力加減に気を付けましょう。
不要な部分のシートを取り除き、必要な所はズレないようによく密着させてから描きます。
このとき絵の具が水っぽいとマスキングした部分にはみ出てしまいますので、濃いめの絵の具で塗りましょう。
シートをそっとはがします。
完成。
少しはみ出ましたが、実はよくあることです。
アウトラインを描き足すか、周りを塗れば目立たなくなりますが、気になる人は凸凹の少ない紙を使いましょう。
マスキングのやり方 マスキングインク(液)編
絵にマスキングインクを塗っていきます。
マスキングインクに使うと筆は傷んでしまうので、私は100均で買った筆を使っています。
マスキングインクで筆がすぐに固まってしまうので、マスキングインククリーナーにすぐにつけます。
とりあえずマスキングクリーナーにつけておいて、後で水と石けんで洗います。
マスキングインクがよく乾いたら、絵の具で塗っていきます。
絵の具が乾いたらマスキングをはがしていきます。
消しゴムやラバークリーナーを使うとはがしやすいです。
マスキングシートの時とはまた違いますが、マスキングインクの場合もややラインがガタつきます。
マスキングで残した部分に絵を描いて完成。
今回はサクランボの軸の細いところもマスキングの液で抜いたけど、細かな部分はマスキングで抜かずにポスターカラーでサッと描いた方が、線がガタつかず勢いが出て良かったかなと思いました。
マスキングのコツ
マスキングは慣れていてもチョコチョコはみ出てしまったり、境界線の多少のガタツキは起こるものです。
凸凹のあまり出ない紙を選ぶと良いかもしれません。
マスキングを使うときは出来るだけ水の量は減らし、絵の具をかためにして塗るとはみ出しにくくなります。
まとめ
マスキングはアナログで絵を描くときに、色を抜くために役立つ方法です。
ちょっとくらいはみ出ても、絵の具で塗ってしまえば気にならなくなることが多いですから、あまり神経質にならずに使うと良いと思います。
マスキングでキレイな線が出ないのがネックになる場合は、すべてをマスキングで解決しようとせず、上手に不透明水彩やポスターカラーを併用するとあっけなく解決することもあります。
いずれにせよ、マスキングを使うことで絵の完成度が上がりあか抜けるので、使いこなせると便利ですよ。