不透明水彩を使ってみようかな?と考えているあなたへ、ホルベイン不透明水彩絵具(ガッシュ)についてご紹介します。
私(MIRA)は現在メイン画材としてホルベイン不透明水彩絵具(ガッシュ)を使って絵を制作しており、ホルベインワークショップで不透明水彩の講師をしたり、自身の絵画教室(パピプルアート)でもこの絵の具を使って指導しています。
この記事ではホルベイン不透明水彩絵具の特徴、ふだんから不透明水彩を使っている絵描きとしてのレビュー、以前使っていた別の種類の絵の具からホルベイン不透明水彩絵具に移行したときに戸惑ったところなど、実体験にもとづいた感想、おススメの色とその色見本の紹介、購入するときどのような基準で色を選ぶと良いかお話しします。
絵の具チューブに表記されている記号の意味、ホルベイン不透明水彩(ガッシュ)を使用して制作した作品画像などとあわせてお話ししていきますね。
ホルベイン不透明水彩絵具(ガッシュ)とは
ホルベイン不透明水彩絵具(ガッシュ)はマットで不透明な表現に向いている絵の具です。

透明水彩絵具と同じ水彩絵の具の仲間で、主な成分も顔料(色の成分)とアラビアゴム(糊の役割をする成分)という点は同じです。
不透明水彩は透明水彩に比べて顔料の量が多くアラビアゴムの量が少ないことから、絵の具を塗ったときに紙の色が透けずに不透明になります。
ホルベイン不透明水彩絵具(ガッシュ)の特徴とレビュー
私が普段ホルベイン不透明水彩絵具(ガッシュ)を使っている理由は、もちろん不透明な使用感の画材を必要としているからで、不透明水彩のいいところは水彩絵の具ならではの繊細さとマットな存在感が両立するところ、塗り重ねが容易なのでマスキング(液やシートなど)がめったに必要ないこと、修正も容易なこと。
そのうえでホルベイン不透明水彩絵具ならではの特徴もあります。
美しい発色
実際にホルベイン不透明水彩絵具を使って描いて感じるのは、「くもりがなく鮮やかで美しい発色」という特徴です。
一般的に水彩絵の具は透明か不透明かに関わらず、絵を描いている途中の濡れているときが一番鮮やかで、絵の具が乾くと鮮やかさが落ち着きます。
ホルベインの不透明水彩絵具は乾いて落ち着いたときでも発色が抜群によく、混色しても鮮やかに発色してくれます。
補色同士を混色して暗い色を作ったときも、くすまず彩度が高いままで暗い色が出来ます。
戸惑ったこと
私は以前はポスターカラーのヘビーユーザーだったのですが、ガッシュに移行するにあたり、少し戸惑うことはありました。
基本的にポスターカラーって、どの色もしっかりとした不透明なんですね。
ホルベイン不透明水彩絵具(ガッシュ)の場合は色によって半透明色や透明色もあるので、似ているとはいえポスターカラーで描くようには描けなくて。
代わりにガッシュならではの描き方、ガッシュだからできる表現や水分コントロールのコツなどはあり、透明色の色については不透明色と混色するなどして使いこなすようになりました。
他の画材との併用のしやすさ
「なんかこれ、併用したらおもしろいんじゃないかな?」と思ったらどんどん他の画材と併用してみるのですが、やってみると違和感なくいろんな画材と一緒に使えました。
◆具体的には、アクリル絵の具向けの盛り上げ下地材である「モデリングペースト」。
乾きが早く軽い「ハイソリッド」や砂が入っているタイプの「パミス」を下地に使い、上から不透明水彩の絵具(ガッシュ)で描きました。


◆不透明水彩と透明水彩は兄弟みたいなものなので、透明水彩として販売されているキラキラ絵の具の「イリデッセントカラーズ」「パールカラーズ」は不透明水彩で描いた上から重ね塗りしたり、はじめから不透明水彩と混ぜて色を作って描いたり。

◆大人気で話題になり日本中の画材店で品切れが続出した分離色シリーズ「グラニュレーティングカラーズ」や、落ち着いた色調の分離色「ナイトフォールカラーズ」も不透明水彩と混色して絵を描きましたが、独特の雰囲気が出て面白かったです。


◆発色が良くなめらかにのびる「パンパステル」も不透明水彩が乾いてから部分的に重ねて使ってみましたが、こちらも違和感なく使えました。

◆そのほかには、アトリエで独自に調合している下地の上から描いてみましたが、これも問題なく使えています。

しっかりと存在感の出せる絵の具なので、他の画材と混色したり併用しても負けない画材だと実感しています。
絵の具チューブの記号の意味
この後、ホルベイン不透明水彩絵具のおすすめの色の選び方についてお話しするのですが、そのために知っておくと便利なのが絵の具チューブに記載されている記号の意味です。

APマークとCLマーク
◆まずは色名の下にあるAPマーク、またはCLマーク。

APマークは無害な絵の具の印。CLマークは有害性のある物質を含んだ絵の具の印です。
CLマークがついている色はごく一部の色です。
毒性注意記号
◆✕マークは有害性がある物質を含んだ絵の具の印。
こちらもごく一部の色についています。

ビジュアル的にこのマークが怖くてホルベインの社員さんにお尋ねしたところ、ムシャムシャ食べたりすると良くないけど、通常使う分にはそこまで気を遣わなくても大丈夫とのことでした。
この画像の絵の具の色はマゼンタですが、ホルムアルデヒドがわずかに含まれているため毒性注意記号は付いていますが、無害な絵の具の印であるAPマークも同時についています。
シリーズ記号
バーコードの右下に□で囲まれたアルファベットが一文字あるのがシリーズ記号です。

シリーズごとに値段が決まっています。(以下、税込み表記)
◆15㎜チューブ
- A 462円
- B 517円
- C 704円
- D 990円
- E 1,320円
- G 1,540円
◆60㎜チューブ
- A 1,265円
耐光性記号
シリーズ記号の左隣にあるのが耐光性記号。

作家さんが気にされることの多い耐光性は*マークの数で確認できます。
- **** 絶対堅牢な色
- *** 堅牢な色
- ** 比較的堅牢な色
- * 変化しやすい色
- 表記なし 著しく変化しやすい色

あなたがもし作家活動をされていて大切な作品を制作されるときや絵を販売される場合、作家さんに限らず描いた絵を大切に長期保管されたい方は*が2つ以上ある色をおススメします
透明性記号
不透明水彩絵具(ガッシュ)って、半透明だったり透明色だったりする色もあるんですよね。
色のもとになる顔料の種類によるのでしょう。
この透明度のちがいは、私が絵の具を購入するとき毒性や耐光性などと同様にとても気にしている項目です。(後ほど選び方について詳しく説明します。)

- ○ → 透明色
- ○の中心に縦線あり → 透明寄りの半透明色
- ○の縦左半分が黒い色 → 不透明寄りの半透明色
- ● → 不透明色
使用顔料名
透明性記号の左隣にあるのは絵の具に使用されている顔料名ですが、カラーインデックスネーム[C.I.NAME]は色相ごとに色素群で分けられており、世界共通のデータベースに基づいた固有の識別番号として表記されています。
たとえば不透明水彩のパーマネントホワイトの絵の具チューブにはPW6と記載があります。

これはPigment(顔料)・White(白)・色素の番号が6、という意味です。
ホルベインの不透明水彩はほとんどの色がP(顔料)で始まるカラーインデックスネームですが、わずか数色の紫・ピンク系の色のみB(塩基性染料)となっており、耐光性について著しく変化しやすい色に分類されています。
※紫・ピンク系はホルベイン製に限らず、耐光性の弱い色と言えます。
ホルベイン不透明水彩絵具のおススメの色と選び方

ホルベイン不透明水彩絵具(ガッシュ)は色数が多く、セットも色々あり、どれを選んだらいいか迷ってしまいますよね。
個別の色数としては89色+日本色の【彩】シリーズが48色あります。(以下、税込み価格)
5mlチューブ
- 12色セット 2,970円
- 18色セット 4,400円
15mlチューブ
- 12色セット 5,610円
- 18色セット 8,470円
- 24色セット 11,660円
- 84色セット 53,790円
- 基本色(プライマリー)5色セット 2,310円
- 山本佳子が選ぶ18色セット 13,882円
日本色【彩】シリーズ 15mlチューブ
- 春 12色セット 5,786円
- 夏 12色セット 5,544円
- 秋 12色セット 5,786円
- 冬 12色セット 5,786円
特別なシリーズや24色・84色などはプレゼントでもらったりするとときめくと思いますが、初心者さんでこれから不透明水彩を描いていきたいという方には、ヘビーユーザーとしては15mlチューブの12色セットか18色セット+60mlチューブのパーマネントホワイト+好きな色という選び方をおススメします。

不透明水彩って混色すれば色はたくさん作ることができるから、基本の色同士を混色していろんな色を作ってみることから始めてみては
12色+好きな色で良いような気はするけど、私の絵画教室では入会時に生徒さんには18色セットを購入していただいています。
12色以外で便利な色が入っていることと、初心者さんに12色セット以外で単色を追加購入していただくのはややこしくて親切じゃないかもなぁ、と思ったからです。
あと、不透明水彩は混色するときにホワイトを大量消費するため、60mlチューブのパーマネントホワイトも同時に購入していただいています。
色の選び方
+好きな色、はあなたならどのように選びますか?
私のおすすめの選び方は耐光性が強く、不透明色(または不透明寄りの半透明色)であること。
できれば安全性の高い色で。

不透明水彩として絵の具をそろえるなら、まずは不透明色・不透明寄りの半透明色でそろえていくのがおススメです
1枚の絵の中で一部分だけ透明色になっているとバランスを取りにくいんですよね。
透明色は不透明色の上から重ね塗りして彩度を上げたり色みの調整に使うのに便利ですが、それはある程度描きなれてからでも遅くないと思います。

でも、どうして不透明水彩なのに透明色があったり、有害とされる材料の色があったり、耐光性の弱い色も商品としてあるのでしょう
たとえば、色相の学びのために必要な基準となる色だったり、良質な顔料で絵の具を作ろうとすると透明色になってしまう色だったり、その色を作るのに適した顔料がないために染料を使っているなど…。
このように想像してみると、耐光性が弱い色や有害性のある色=悪(使ってはいけない色)のようにとらえなくて良いと私は考えています。
おすすめの色と色見本

ホルベイン不透明水彩絵具(ガッシュ)の12色セット以外でおススメする色について、ご紹介していきますよ♪
ローズバイオレット
G588 ローズバイオレット

PR122 ○の縦左半分が黒い(不透明寄りの半透明色) *** C (704円)
記号の項目でお話ししたようにピンク・紫系の色って塩基性染料が使われていて著しく変化しやすい色だったりするのですが、ローズバイオレットに関しては色の成分が顔料ということもあり、嬉しい*3つ。
不透明寄りの半透明色ということで、作品制作にはもちろんワークショップでもガンガン使っている最もおススメしたい色です。
18色セットに入っているピンク系の色がマゼンタなのですが、透明色寄りの半透明色で*がゼロなので、生徒さんには「今はマゼンタで良いけど色褪せを気にするなら、買い足すときはローズバイオレットを買うと良いですよ。」とお伝えしています。

上の画像は2Bの鉛筆でハートの図を描き、マゼンタとローズバイオレットそれぞれ同程度の絵の具の濃さで3回ずつ重ね塗りしたものです。
マゼンタの方が透明感があるためハートの線がくっきり見えており、紙の白さも透けて見えています。
ローズバイオレットはハートの線はかすかに見える程度で、紙の白さもほとんど透けていません。
ピュアブルー
G571 ピュアブルー

PB15 ○の縦左半分が黒い(不透明寄りの半透明色) ** A (462円)
ピュアブルーは名前の通り素直なブルーで使い勝手がとても良いです。
色みにクセがないので混色したときに相手の色に素直に馴染んでくれるので、混色や色の変化を伴うグラデーションにも使いやすくて重宝しています。
ピーコックブルー
G567 ピーコックブルー

PB15 PG7 ○の縦左半分が黒い(不透明寄りの半透明色) *** A (462円)
こちらは海を描くときなどに重宝する色。
素直なピュアブルーと比べると色気のある色だと思います。
不透明度、耐光性も申し分なくおススメです。
イエローオーカー
G527 イエローオーカー

PY42.43 ●(不透明色) **** A (462円)
イエローオーカーはアースカラーの代表格。
単色で見ると可愛かったり華やかな色ではないかもしれませんが、自然のものを描くときに使う場面はたくさんあると思うので、ぜひ持っておきたい色です。
ローアンバー
G602 ローアンバー

PBr7 ●(不透明色) **** A (462円)
おススメの色とご紹介したイエローオーカーですが、個人的にはこの手の色はもう少し彩度を低くしたほうが扱いやすいので、イエローオーカーを少し暗くしたような印象のローアンバーの方が私はよく使っています。
彩シリーズ 赤金
G892 赤金

PW20 ○の中心に縦線あり(透明寄りの半透明色) **** C (704円)
ホルベイン不透明水彩絵具(ガッシュ)に金色は数種類あり、それぞれ素敵な特徴があるのですが、この赤金はノーマルな金色。
金色については他の色と少し使い方がことなることもあり、透明感については特に気にしていません。
ノーマルだからベタ塗りやにじみ(たらし込み)などにも使いやすく、どんな絵にも合わせやすいので初心者さんにおススメの金色です。
まずは使ってみよう
私が作品を描いたりワークショップ用の見本を描いたりするとき、実はあまり多くの色は使っていません。
ラメ感のある色など特殊な装飾用の色を除くと、ホワイトを入れてもせいぜい5・6色くらいだと思います。

不透明水彩は混色で多くの色を作り出すことが出来るので、はじめから多くの色をそろえなくても大丈夫
描いていくうちに少しずつ、あんな色もほしい、この色も好きというのがわかってきたら、買い足していけば良いと思います。
絵の具の使い方、描き方については、また別の記事にしてご紹介したいと考えていますが、もしあなたが来ることが出来れば、ホルベインワークショップ「不透明水彩(ガッシュ)で描くお洒落な絵画」に参加してみてください。
目の前で私が描くところを見ながら、ホルベイン不透明水彩絵具で絵を描く方法を学ぶことが出来るので、ブログや動画よりわかりやすく、その場で描き方のコツも知ることが出来ます。

おひとりおひとりの席をこまめに回ってていねいに指導していますので、わからないこともその場ですぐに聞いていただけますよ

私の絵画教室でもホルベイン不透明水彩絵具で絵の描き方や画材の扱い方などを教えていますので、お気軽に体験レッスンにお越しくださいね
ホルベイン不透明水彩絵具で、あなたも不透明水彩をはじめてみませんか。























安全性が気になる場合はCLマークや✕マークがついていないものを選ぶと安心だね