画像にウォーターマークを入れる方が良い理由|どうして遠慮するの?

あなたが一生懸命描いた絵画やイラスト作品の画像をSNSなどネット上に公開するときに、ウォーターマークを入れていますか。

ウォーターマークを入れても意味ないという声もありますが、私は入れた方が良いと考えています。

そもそもウォーターマークとは何のために画像に入れるのか、その必要性について詳しく解説します。

ウォーターマークとは何か

ウォーターマークとは、画像や映像に入れる透かしのマークのことです。

「この画像(映像)の著作権は私にありますから、無断で使ってはいけませんよ」という印として表示しているものです。

著作権というのは本人が放棄しない限り存在しているので、このウォーターマークがなくても、例えばネット上で見つけた画像のスクリーンショットなどをSNSに載せたりして勝手に使用することは、相手がプロだろうとアマチュアだろうと、してはいけないことに違いはありません。

ただあまりにも無断転載が横行しているため、発信する側が「無断転載しないでね、ていうかアカンことやからね」とわざわざアピールしないといけないのが現状だと思います。

ウォーターマークを入れる必要性

「画像にウォーターマークを入れても意味がない」という意見があるのは、残念なことにウォーターマークを消すアプリや画像編集ソフトを使って、やろうと思えばウォーターマークを消すのは技術的に出来ないことではないからです。

そして非常に残念なことにウォーターマークを消すという行為そのものは、現状では違法ではありません。(消した上で画像を無断で使用するというのは、今でも著作権侵害になります。)

ただ、「著作権を放棄していませんよ、勝手に使ったらいけませんよ」という表示をわざわざ人為的に消すという行為は、違法でなくても悪質である可能性は高いのではないかと思います。

以前、まとめサイトに無断転載された画像をめぐって、カメラマンが無断で使われた画像の使用料の請求をなさったことが社会的に注目されたことがあります。

当時新聞でその件について読みましたが、無断で使われた画像はトリミングされ、元々入っていたウォーターマークをカットした上で使用されていたことが、より悪質だと指摘されていました。

そうです、「画像にウォーターマークを入れることに意味がない」なんてことはありません。

ウォーターマークをわざわざ消してまで無断で画像を使うというのは、ウォーターマークのない画像を無断で使う以上に悪質ということが認められるのです。

ウォーターマークの種類

ウォーターマークはこうでないといけないという決まりはありませんが、よく使われるのはこの3種類です。

  • ロゴマーク
  • コピーライト
  • 作家名

ロゴマーク

企業ロゴやブランドのロゴ、自分の作家名をデザインしてロゴにしたものをウォーターマークとして使う方法です。

ロゴマークの場合は著作権としてのアピール以外にも、画像検索などで見つけてもらったときに企業名やブランドなどの宣伝効果も期待出来ます。

私もはじめはロゴマークにするのがお洒落でいいかなと思ったのですが、有名な企業ならわかりやすいけど、私が作ったロゴの場合「使わないでね」というメッセージがはたしてどこまで伝わるのか、ただの装飾みたいにしか見てもらえないかもしれないなと思ったので、私自身はロゴ単体でウォーターマークにはしていません。

コピーライト

いわゆるマルシーと呼ばれる著作権表示です。

表記には©、発行した時の西暦での年、著作者の名前を書きます。

© 2023 MIRA のような表示ですね。

作家名

作家名だけ表記する画家さんも多いと思います。

印象としては、コピーライトを記載するよりややソフトに見えます。

ウォーターマークを入れる判断

ウォーターマークを入れるというのは「著作権を放棄していませんよ」という意志表示であり、無断で使用されることへの抑止効果を期待するものです。

ただ、これを入れなくても著作権は存在していますし、画像に入れるかどうかは発信する本人の判断になります。

ウォーターマークは嫌われる?

私がECサイトで絵画を販売し始めたときも、SNSを始めたときも、正直まわりの画家さんでウォーターマークを入れている方より入れていない方のほうが圧倒的に多く、自分が画像にウォーターマークを入れたら、これ見よがしな感じがして嫌がられるんじゃないかとか結構悩みました。

それでも私の場合は商品が吉祥画というジャンルだったため、素材として狙われやすいという自覚がありました。

知り合いの画家さんたちにもウォーターマークについてどう考えているか相談したこともありますが、気にしていない作家さんの多くは、画像素材としてはあまり狙われにくいだろうなという作風の絵を描いておられたので、無断転載されたことも特にないということで、あまり参考になりませんでした。

すごく迷いましたが、私は自分の作品だけでなく師匠の作品データも扱っていましたので、はじめのうちはロゴマーク、ホームページのURL、All rights reserved.の文言まで入れた、ごついウォーターマークを入れていました。ダサいくらいでかでかと。

その状態でショップやSNSなどで投稿してみて、なんとなく反応を伺いながらマークを小さくしてみたり、コピーライト表示に変えてみたり…、見た人の抵抗感は出来るだけ少なく、見た目もダサくならないように…でも意思表示は出来る方法はどれか考えて色々試しました。

ウォーターマークとは、画像が悪用されないためという目的のためにつけるのですが、実際にSNSやショップ、ホームページなどでそれらの画像を見る人の多くは、悪用するつもりなどない人がほとんどです。

そのほとんどの人たちにとって、絵や写真が見にくい、なんかうざい、という印象になってしまうのは出来れば避けたい。

そのあたりのバランスを探りながら色々試し、しばらくは©とMIRAという作家名だけを表記する形で、小さめに目立たないようウォーターマークを入れていましたが、最近になり正式なコピーライトⓒ2024MIRAに変えました。

この記事をはじめに書いてから1年以上がたち、生成AIが普及し作家を取り巻く環境が急速に変化していることと、ウォーターマークを画像に入れる作家さんが増え、コピーライトを入れる抵抗感が和らいだことが主な理由です。

SNSも2年ほど色々な作家さんの投稿を見せていただき、この記事を書いた当時は(とても人気で活躍されているにもかかわらずウォーターマークを入れないのだな)と思って見ていた作家さんが、作品を無断転用されたのをきっかけにウォーターマークを入れるようになったというケースを何度か見ています。

ウォーターマークを付ける基準

SNSなどをしていると画像もドンドン載せますし、どこまでウォーターマークって付けた方が良いのかなと悩みませんか。

これも人それぞれだと思うのですが、私の場合、当初目障りなほど大きくロゴなどの透かしを入れていたにも関わらず、画像が悪用されてしまいました。

初めてのことで勝手もわからずネットショップがらみがらみだったので、それなりに対応も考えて色々調べたりするのに時間もとられ、イヤな思いをしました。

いちいち投稿する画像にウォーターマークを入れるって、自意識過剰と思われるかなと躊躇するのですが、実際に無断で使われているのを見つけたときって本当に腹が立つし、そこからの対応って面倒です。

画像にウォーターマークを入れるという作業の面倒さより、はるかにめんどくさい。

「有名でもないくせに、この人カン違いしてる」とか「こんなしょうもない画像、誰もとらへんのに」と思われても良い。

私は自分の作ったものや撮った写真を守りたいと思うので、自分で作った画像の多くにウォーターマークを入れています。

時々面倒で入れるのを忘れることもあるけど、ウォーターマークを入れておいた方が、いざ何かあったときも有利だと思うから。

絵画やイラストの作品画像については、どんどん使われて拡散された方が良いという意見もあるけど、それを許可するかどうか決めるのは描いた画家本人

「ココまでは良いけどココからはダメ」という意志は、はっきり伝えて良いと思います。

まとめ

ウォーターマークとは、技術的には絵を守るためには万全の方法ではありませんが、著作権に対する作家自身の意志を示すことが出来る方法です。

何かトラブルがあったときには、ウォーターマークが入っている方が有利ですし、ある程度の抑止効果はあると思います。

表示の仕方、デザイン的な工夫次第で、画像にウォーターマークを入れても印象はさほど悪くならないと思います。

色んな考え方がありますので、あなたにとってウォーターマークは必要か、必要ならどこまで使うか、ぜひ考えてみてくださいね。

安易な無断転用を防ぐためにはウォーターマーク以外にも、画像サイズを小さくするなどの方法もあります。

ウォーターマークを画像に付ける方法や画像サイズについては、別の記事で詳しく説明しますね。

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MIRAデザイン画家
絵が上達したい・自分の描いた絵を売ってみたい人へ、上達のヒントや画家活動の悩みの解決方法、画材などについて発信しています。 以前は画廊に勤め毎日絵を販売していました。 現在は師匠と吉祥画を制作販売したりリアル系似顔絵の注文を受けたり、絵画講師をしながら独自の支持体を使って絵を描いています。 ブログに書ききれない情報はメルマガで。 本気で上達したい人向けの水彩画のテクニック講座が気になったら、おトクなオープニング価格のうちに体験してみてくださいね。(好評です) 11月29日~12月1日に大阪で個展を開催。 あなたのお越しをお待ちしています。