美術館での鑑賞の仕方|自由に見れば良いと言われても困るあなたへ

気になる展覧会があるから美術館に行ってみたいけど、オススメの鑑賞の仕方ってあるのかな。

美術館に誘われたけど初めてで見方がわからない

初心者の方もときどき観に行くよという方も、すると良いこと、しなくて良いことなど、美術館での鑑賞のコツについてご紹介します。

美術館での服装やマナーについては別の記事で詳しく説明しています。

美術館での鑑賞の仕方 

美術館での鑑賞の仕方 ①見方

美術館に行くことになったけど、鑑賞の仕方がわからないという方にお伝えしたいのは「どうぞお好きなように見てください。」ということ、私は本当はそれがすべてだと思っています。

そんなこと言われてもわからない、美術館での鑑賞のコツを知りたい!という方のためにオススメの方法は、その展覧会につけられたタイトルに注目してみることです。

美術館で開催される企画展には絵を描いた画家の名前などを冠した「○○展」といったタイトルがついていますが、タイトルだけでなくサブタイトルまたはキャッチコピーのようなものがタイトルと一緒につけられています。

このキャッチコピーの部分に注目すると、その展覧会がどのようなテーマや切り口で構成されているかがわかります。

たとえば「ルーブル美術館展 愛を描く」というタイトルからは、「ルーブル美術館の収蔵作品の中から愛をテーマに描かれた絵を集めて開催される展覧会」だとか「ルーブル美術館の収蔵作品を愛という切り口から鑑賞してみようという意図で構成された展覧会」というふうにイメージすることが出来ます。

そうすると実際に美術館で絵画を鑑賞するときに「これはどんな愛を表現しているのだろう」「どんな愛の物語なのかな」という視点で絵を見ることが出来ます。

どの展覧会にもテーマがあり、そのテーマに沿っていくつかの章にわかりやすく作品が分かれています。

展覧会のテーマは絵画を楽しんで鑑賞するため、わかりやすくするためにあるようなものなので、美術館で何をどう見れば良いか見方がわからないという方は「この展覧会はどんなテーマかな」というところを意識して作品を見てみるとおもしろいと思います。

美術館での鑑賞の仕方 ②見なくていいもの

美術館で鑑賞するときに無理して見なくて良いもの、それは大きなパネルで展示された説明、各作品のキャプションです。

どこかからお叱りを受けそうですが…。

美術館の規模にもよるのですが展示作品数の多い展覧会の場合、この説明文をひとつひとつ丁寧に読んでいくとかなり時間がかかるのと途中で疲れてしまい、(初心者の方はとくに)最後まで作品をじっくり鑑賞するだけの集中力が続かなくなることがあります。

読まなくて良いというのは、このパネルやキャプションに書かれてあることに価値がないという意味ではありません。

ここに書かれていることは展覧会の図録を買えば、同様の説明を後からでもゆっくり読むことが出来るからです。

美術館で鑑賞する理由は、なにより「本物の作品を見ることが出来る」からではないでしょうか。

画集やインターネット上で今は簡単に画像を見ることは出来ますが、画集では表現出来ない色や質感、小さなモニターでは感じることの出来ない絵画の大きさ、迫力、筆致から直接感じられる感動など、画家の描いた実物の絵画(作った作品)を見ることにこそ、他には代えられない価値があります。

ですので、説明を一生懸命読むよりも絵画などの作品を一生懸命見ることが、美術館で鑑賞するときの一番大切なコツです。

解説は美術館から帰った後でも、図録で読んだりネットで調べたりして追いかけることが出来ますが、作品を直接見ることが出来るのは美術館にいる間だけです。

作品のキャプションは内容によっては作品とセットで一緒に読む方が楽しめる場合もあります。

たとえば物語をテーマに描かれた絵の場合など、どんなお話のどんな場面を描いたものかという解説はその場で読めた方がわかりやすいし面白く、記憶にも残りやすいと思います。

逆に年表のような出来事を羅列した内容の場合は、歴史に詳しい人は「あの時代ね」とわかるかもしれませんが、そうでない人にとっては読んでもピンとこないので、その場で読まなくても良いのではと私は思います。

美術館での鑑賞の仕方 ③下調べ

美術館で企画展が開催されるときには、その展覧会の特設サイトが作られます。

特設サイトでは展覧会の概要、出品作品のリスト、見どころなどが紹介されていますので、前もってチェックしておくとどんなテーマの展覧会か様子がわかりますし、先ほど読まなくても良いと説明したパネルの説明の内容も、ザックリとですが知ることが出来ます。

美術館での鑑賞の仕方 ④音声ガイド

美術館では音声ガイドを借りることが出来ます。

でも、本当のことを言うと私は音声ガイドを一度も借りたことがありません

それは私の場合、美術館で鑑賞するときには好きに見て好きなように感じたい、横から説明されたりすると気が散ってしまうからです。

音声ガイドはそういう人には必要ないものだと思いますが、音声ガイドで紹介されている作品というのは、展覧会の主催者側が「この作品を特に見てほしい、ここが見どころ」と考えているイチオシの作品でもあると思うので、解説を聞いてより深く作品のことを知りたいとか、好きに見てもよくわからないから説明してほしいという方は音声ガイドを借りてみても良いと思います。

美術館での鑑賞の仕方 ⑤準備

美術館に行く前にいくつか準備をしておくと良いコツをお話しします。

予約をとる

予約自体は必須ではありませんが、とても人気のある展覧会の場合、当日に窓口に並んでチケットを買うと、タイミングによっては1時間以上待たないといけなくなることがあります。

最近はチケットや入場時間の予約を美術館サイトで受け付けているところが増えていますので、待ち時間なくスムーズに鑑賞したい方は前もって予約を取っておくことをオススメします。

予約サイトを見れば、予約の埋まり具合でどの時間帯が混むのかという予測もつきます。

身分証明証(手帳)を持っていく

多くの美術館では障がい者手帳などの提示で本人と付き添いひとりまでが無料になったり割引の対象になります。

美術館によってはこの他にもシニア割引や特定のクレジットカードの提示などで割引を受けられるところもあるので、割引を受けたい方は身分証明を持っていきましょう。

寒さ対策

美術館の中は展示品の保護のため温度や湿度の管理がされています。

特に夏場は外と美術館の中の気温差が大きいので、寒がりな方は1枚羽織るものを持っていくと安心です。

鉛筆

美術館で鑑賞中に使える筆記用具は鉛筆のみです。

メモを取る人は少ないですが、たとえば図録を買う予定のない方で気に入った作品があった場合、作品名などをメモしておくと後でネット検索などして作品のことを調べるときに便利です。

美術館には自由に持って帰ることの出来る作品リストが用意されていますので、気に入った作品に鉛筆でチェックを入れておくと作品名を忘れません。

カメラアプリ

この頃は美術館内で展示されている著作権保護期間の過ぎた作品などについて、撮影可能なケースが増えてきています。

撮影可能な作品はスマホで気軽に撮影出来ますが、静かな美術館内ではシャッター音が響きます。

1度や2度ならまだしも何度もとなるとあまりよろしくないので、写真も撮りたいという方は美術館へ鑑賞に行く前に無音で撮影できるカメラアプリをスマホに入れておかれることをオススメします。

私はStageCameraProというカメラアプリを使っています。

まとめ

美術館に行くことになったら堅苦しく考えず、自由に見て自由な感想を持ってください

美術に詳しい人が小難しいことを言っていても、他の人が良いと言う作品の良さがわからなくても、気にすることはありません。

美術館へ行くまでに前もって展覧会の特設サイトを見ておくと、どんなテーマの展覧会なのか見どころなどもわかります。

実際に鑑賞した後、好きな作品がたくさんあって良い展覧会だったなと思ったら、図録を買っておくと家に帰ってからも美術館の余韻にひたりながら図録を見ることが出来、楽しみが長く続いてオススメです。

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ミラデザイン画家
似顔絵肖像画を描いたり師匠のアシスタントをしながら制作活動をしています。好きな画材はポスターカラー、不透明水彩、日本画の絵の具。琳派とヨーロッパアンティーク風の絵が好きです。画家活動や画廊で長く働いた経験から得た、絵の描き方やリアルなアートの話のほか、生きづらくて苦しんだ後にたどり着いた、前向きでラクな考え方や肩の力を抜いた楽しい生き方についても書いています。