ポートフォリオの作り方|画家活動のためのポートフォリオの内容、作るときの注意点

画家活動をしていると必ずポートフォリオが必要になります。

ポートフォリオにはサイトと紙のファイルがありますが、今回は公募展や個展、営業の際に必要になる紙のファイルのポートフォリオの作り方について、詳しく解説します。

ポートフォリオとは

ポートフォリオとは画家にとっては、自分の作品や活動の略歴、作品への思いや今後の展望などを知ってもらうための資料です。

単なる作品集ではなく、自分がどのようなコンセプトでどのような絵を描いているのか、これまでどんな実績があるか、自分自身に興味を持ってもらい、次の活動につなげるためのアイテムです。

人気のある公募展では、申し込みの際にポートフォリオでの選考が行われる場合もあります。

展覧会の際には必ずしも会場にポートフォリオを設置する義務はありませんが、チャンスを逃さない為にもぜひ用意しておくことをおすすめします。

ポートフォリオには自己紹介や作品画像以外にも色々記載出来ますが、見せる相手に適した内容にまとめたり、作品が増える度に掲載作品を良いものに入れ替えるなど、一度作れば良いというものでなく、その都度作り変えていきましょう

ポートフォリオの内容

ポートフォリオは相手によって内容を変えると先ほど書きましたが、毎回必ず記載するものと、その都度必要な時に記載するものに分けて説明していきます。

ポートフォリオに必ず載せるもの

自己紹介

名前(作家名)と簡単な自己紹介。

どのような思いで作品を制作しているかなど、テーマやコンセプトについても触れておきます。

活動の略歴

参加した公募展や個展の履歴や受賞歴を時系列で記載します。

沢山ある場合はインパクトのあるものだけを選んで書くと良いです。

絵の仕事の実績や取引先企業も書きます。

作品の画像と情報

作品の画像、タイトル、画材や技法、サイズ、制作時期など。

作品ごとに詳細な解説は特に必要ありませんが、テーマごとにコンセプトがある場合などは記載したり、特殊な技法の場合には制作過程などを掲載するのも良いと思います。

デジタル作品の場合は使用したツール(アプリ)や制作時間(主に企業向けのポートフォリオ)なども記載します。

作品画像は時系列でも良いし、動物の絵、風景の絵のようにテーマごとに分ける場合もあります。

ポートフォリオを手に取った方が最後まで丁寧に見てくださるとは限らないので、私の場合は、前の方のページに新しい作品や特に見てもらいたい作品の画像を持ってくることが多いです。

今後の展望

これからどのような活動をしていきたいかという意志や、決定している今後の展覧会情報などを書いてポートフォリオをしめくくります。

相手によって、ポートフォリオに追加するもの

本名

画家活動を雅号で行っている場合、必ずしも本名の記載は必要ないと思いますが、営業でポートフォリオを送付する場合や会場で営業活動に力を入れたいときには、本名も記載しておきます。

顔写真

画家活動には本名かどうかだけでなく、顔出しもするかしないかは自由だと思いますが、私は企業向けにポートフォリオを作るときに限って、顔写真もつけています。

一度もお会いしたことのない相手でも顔写真があるとリアルに感じてもらえますし、信用という意味でも自分をしっかり開示することで誠意を伝えられ、印象も残りやすいと思います。

顔写真はわざわざ載せるのであれば、中途半端に顔がよくわからない遠くから撮った写真や横向きなどの写真より、正面を向いて笑っている写真を使うようにしています。

価格表

絵のオーダーを受けたい場合には価格表を載せます。

受注出来るそれぞれのサイズごとの価格のほか、納期や注意事項についても記載しておきます。

展覧会用のポートフォリオの場合には読み飛ばされてしまうことも多いと思うので、本気で受注をとりたいのであればお客様に持ち帰ってもらえるチラシも別途用意しておきます。

価格を厳密に決めすぎていると、はじめから条件に合わないと相手にしてもらえなかったり、受ける内容によっては後で自分がしんどい場合があるので、(特に企業向けの場合は)私は価格は目安という表現にとどめ、要相談とにごしておくことが多いです。

商品のシミュレーション

これはポートフォリオというより提案書などでよく記載するのですが、こんな商品にしたらどうですか、というのをシミュレーションした画像を載せておきます。

絵の画像だけを見て「ほ~」としか思わなくても、具体的な商品例としてビジュアルを目にすることで「これならウチで取り扱ってみようかな」という方向に持っていきたいわけです。

以前、大規模な公募展を見に行ったとき、参加されていた作家さんの中に「既存の雑誌の表紙に自分の絵が使われたら…」というシミュレーション画像をポートフォリオの中に入れていた方がいて、とても具体的にイメージ出来て良いなと思いました。

その方はメディアに取り上げられたり百貨店での活動もされていましたが、提案の仕方の工夫や努力を垣間見たようでした。

連絡先

展覧会場に設置するポートフォリオにはSNSやホームページなどのアドレスだけにとどめておきますが、営業用に相手先の決まったところに向けて作る場合には住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報も記載しておきます。

ポートフォリオの作り方

ポートフォリオは大きいものでも見やすくて良いですが、公募展などではA4サイズに指定されていることがあります。

今は基本的にパソコンでポートフォリオを作る方がほとんどではないかと思います。

家庭用のプリンターで印刷するのであれば、Photoshopでじゅうぶん良いものが出来ると思います。

私はパソコンにPhotoshopを入れていなかった時にはPowerPointを使っていましたが、他の画家さんたちのポートフォリオを色々見せていただくと、画家活動に力を入れている人はポートフォリオもお洒落だったので、PowerPointでは細かなレイアウトなどに限界があって難しいなと思いました。

紙の縁まで印刷にこだわっていた画家さんの中には、自宅でデータだけ作りキンコーズで印刷して仕上げるという強者もいました。

家でプリントする場合、印刷用紙は普通紙ではなく写真がキレイに印刷出来るものを使います。

私はエプソンのスーパーファイン紙を使っていますが、紙に厚みがあってしっかりしていますし、真っ白な紙で発色が良いです。

ファイルは出来ればポケットの透明度が高いものを使いますが、お値段も良いので時と場合によって使い分けています。

個展の場合、公募展でも営業に力を入れたい場合は、良いものを使った方が良いかなと思います。

ファイルの色は黒やツヤのある白が高級感があって好きですが、こうでなくてはいけないという決まりはないと思います。

ポートフォリオを作るときの注意点

せっかく一生懸命ポートフォリオを作っても、見てもらえなければ意味がありません。

手に取ってもらえるよう、ひと工夫が必要です。

ポートフォリオの注意点

公募展でポートフォリオを用意する場合、自分のファイルだということが一目でわかるようにしておきましょう。

公募展のときに作家さんごとにブースがある場合は、ポートフォリオも各々のブースに設置できるのですが、そうでない場合は大きなテーブルなど一カ所に全員のポートフォリオが集められ、同じようなファイルがズラッと並ぶことになります。

そうなると目当ての作家さんのポートフォリオを探すのが大変で「めんどくさいからもういいや」と手に取ってもらう機会を失うことがあります。

対策としては一枚目を絵と作家名にし、透明なファイルにしたり、黒などの色付きのファイルの場合は表紙に大きめに作家名を書いたり貼り付けておきます

名刺を表紙につけておくというのもアリですが、クリップだと外れてどこかに行ってしまうので、この場合もテープなどで貼り付けておきます。

他府県の公募展に参加するときなど、作品だけ送り返却もギャラリーの方に任せるという場合、ギャラリーの方は何人もの作家さんの作品の発送作業がありますので、余計な負担をかけないよう、中身を開いて確認しなくても誰のポートフォリオかわかるようにしておきましょう

企業向けにポートフォリオを送る場合も、見てもらえるように私は工夫をしていますが、それはまた別の機会にお話ししようと思います。

まとめ

画家活動をする際にさけて通れないポートフォリオですが、展覧会で興味を持ってくださった方にその場で手に取ってもらい、自分について詳しく知ってもらったり、会場にない作品も見てもらうことが出来ます。

ポートフォリオは作品が増え、活動歴も更新されると内容を付け加えたり、作り変えていくものです。

お洒落で見やすいということも大切ですが、デザイナーとしてポートフォリオを作るのでなければデザイン的にそれほどこだわっていなくても、画家として伝わるポートフォリオは作れます。

営業の場合はポートフォリオでなく提案書や企画書の場合が多いですが、ポートフォリオの内容と重なる部分もあります。

ポートフォリオはいざ作るとなると、それなりに時間もかかりますし初めてだと大変に感じるものですが、作っておくと何かと便利。

あなたやあなたの作品の魅力が伝わるポートフォリオを作ってくださいね。

ABOUT US
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ミラデザイン画家
似顔絵肖像画を描いたり師匠のアシスタントをしながら制作活動をしています。好きな画材はポスターカラー、不透明水彩、日本画の絵の具。琳派とヨーロッパアンティーク風の絵が好きです。画家活動や画廊で長く働いた経験から得た、絵の描き方やリアルなアートの話のほか、生きづらくて苦しんだ後にたどり着いた、前向きでラクな考え方や肩の力を抜いた楽しい生き方についても書いています。