ラフスケッチとは、絵を描く人にとっては作品を制作する前にザックリとイメージを掴むための絵のメモのようなものを意味します。
ラフスケッチを描く理由
ラフスケッチを描いてから制作すると作品の完成形をイメージしやすくなり、構図や色彩の失敗を防ぐことが出来ます。
ラフスケッチの段階で何通りもアイデアを描き出し比較することで、より良い作品作りを目指すことが出来ます。
絵を描きたい気持ちが先走るといきなり作品を描き始めたくなりますが、そんな時ほど描いている途中でつまづいてしまいやすいもの。
ラフスケッチを予め描いておくというのは、質の良い作品をスムーズに制作するのに大切な工程です。
ラフスケッチの描き方
ラフスケッチを描く紙は自分で見るだけならこだわる必要はありません。
私はクロッキー帳やプリンター用紙などに描いています。
描くモチーフを決めたら大きな図でなくて大丈夫なので、紙に絵のアイデアをいくつもメモしていきます。
例えばバラの花を描くと決めたら、アップで描いたり風景の中に描いたり、花瓶に生けたり…。絵は縦長か横長か、といったことを絵のメモとして描いていきます。
アイデアを沢山出したら、その中で気に入った構図のものを選び、色のイメージを掴むため簡単に色を塗ってみます。
ラフスケッチで構図と色のイメージが掴めたら、実際の絵のサイズで下図を制作したり、作風によってはラフを見ながら直接絵を描いていくことが出来ます。
普段からラフスケッチを描く習慣がないとアイデアが少ししか思い浮かばなかったり、似たり寄ったりなラフが並んだりしますが、この時にアイデアを出来るだけ沢山出すよう訓練すると、だんだん思い切った構図のカッコいい絵がスッと描けるようになっていきます。
ラフスケッチは手描きとパソコンどちらが良い?
ラフスケッチの工程はパソコンでも可能です。
例えば写真をトレースして描く場合など、LightroomやPhotoshopなどの画像加工アプリでトリミング、色調や光の調節をして描きたい絵のイメージに近付けてみることが出来ます。
手描きのラフスケッチの画像をパソコンに取り込み、同じく画像加工アプリで色を置き換えて様々な色をシミュレーションするというのも、普段から加工アプリを使い慣れている人には便利と思います。
私の場合は以前はよくパソコンでラフスケッチの色をシミュレーションしていましたが、最近は手描きに戻しました。
パソコンですると脳が作業モードになってしまい、のめりこんでムダに時間をかけてしまったり、絵を描くモードに切替がスグに出来ないとき、スムーズに制作に移れなくて効率が良くなかったからです。
ラフスケッチは簡単なメモなので、色のシミュレーション程度なら何通りも紙にサッサッサッと描いてしまうのも大変なことではないですし、脳も絵を描くモードでいられるので、そのまま制作にスーッと自分を誘導しやすかったです。
私の場合は出来る限り手描き派ですが作風にもよりますし、パソコンの方が好きという人はパソコンでラフスケッチを作れば良いし、特にどちらが優れているということではないと思います。
ラフスケッチを仕事に活かす
これまでお話ししたラフスケッチは自分で見るためだけの比較的小さなメモを意味していましたが、ある程度の大きさで他の人が見ても伝わりやすい程度に描いたラフスケッチはプレゼンの際に活躍します。
既存の取引先へ絵の新しい商品をおすすめする場合、完成形でなくまずラフスケッチを見せて意見を聞かせてもらい、それを踏まえてサンプルを制作してみるという方法をとることがあります。
はじめから完成形を見せると「ちょっと違うな」となればボツ、0か100かという感じですが、ラフを持参して意見を聞かせてもらうなら、次回に話を繋げることが出来ます。
まとめ
ラフスケッチで作品を色々シミュレーションすることは、より良い作品を作るために意味のあることです。
描きたい気持ちが先行しがちな方は、普段からスキマ時間を上手に使ってラフスケッチをこまめに作っておくと、いざ描きたいときにサッと気持ちよく制作に入ることが出来てオススメです。