デザイナースカラーとはどんな絵の具?ニッカー製のポスターカラーとの違いは?
ニッカーさんからデザイナースカラー(24色セット)をご提供いただいたので、絵の具の特徴や色見本、ニッカー製のポスターカラーとどう違うかやおすすめの使い方、どんな人に向いている絵の具かご紹介していきます。(この記事はPR記事です。)
色見本については水彩紙のモンバルに実際に塗ったものを撮影編集しています。
正確な色の再現は難しく、お使いのデバイスによっても色が変わりますので、色見本はご参考程度に見てくださいね。
ちなみにパッケージデザインにDESIGNERS COLOURと表記されているので、はじめ見たときは【デザイナーズカラー】かと思ったのですが【デザイナースカラー】が正式な商品名でした。
もくじ
デザイナースカラーってどんな絵の具?
絵の具と一緒に入っていた説明書によると、ニッカー製のデザイナースカラーとは
最高級の顔料と高品質なアラビヤガムを水でとかしたバインダーを使用した不透明水彩絵具です。
【顔料】というのは絵の具の色の材料、【バインダー】というのは顔料を紙にくっつける接着剤の役割をする成分。
水彩絵の具のバインダーにはアラビヤガム(ゴム)が使われていて、アラビヤガムの量が多めで絵の具の色に透明感があるものを【透明水彩】、顔料が多めで色が不透明に見えるものは【不透明水彩】と呼ばれています。
上の画像ではB2の鉛筆で描いた線の上から透明水彩と不透明水彩であるデザイナースカラーをそれぞれ塗ったものです
透け感の違いがハッキリ出ていますね
不透明な絵の具にアクリルガッシュがありますが、アクリルガッシュのバインダーにはアクリル樹脂が使われているため、デザイナースカラーはアクリルガッシュとは異なる絵の具です。
デザイナースカラーは水彩絵の具の一種なので、アクリルガッシュのように耐水性ではありません。
デザイナースカラーの特徴
こちらも説明書より
絵具の伸びが良く、マットでニゴリのない鮮やかさが特徴です。
ノビの良さ
デザイナースカラーに限らずポスターカラーにしても、絵の具のノビの良さはニッカー製の絵の具の際立った特徴です。
絵の具を塗るときに筆先に引っ掛かりを感じにくく、軽くなめらかに良くのびるので使い心地が気持ち良い絵の具です。
鮮やかな発色
鮮やかでニゴリのない発色の良さ。
不透明でマット
マットな不透明色のため、濃度を濃くすれば暗い色の上から明るい色を塗ることも出来ます。
ムラが出ない
丁寧に塗り重ねることで、ムラのないベタ塗りもキレイに出来る絵の具です。
下の絵は私が初めてデザイナースカラーを使って描いた時の絵です。
はじめて使った時は、そのなめらかな塗り心地に驚きました
実際に普段からデザイナースカラーを使っているユーザーとしてはデザイナースカラーとは【アクリルガッシュのような力強いマットな発色】と【透明水彩のような繊細な表現】が同時に出来る、扱いやすい水彩絵の具と感じており、それがこのデザイナースカラーを好んで使う理由にもなっています。
デザイナースカラーとポスターカラーの違い
粒子が均一で濃度があり、ポスターカラーの高級品です。
こちらも説明書の一文です。
デザイナースカラーの話の前提としてお話しする必要があるのですが、ポスターカラーという絵の具はバインダーにデキストリンが使われることが珍しくないのですが、ニッカー製のポスターカラーのバインダーはアラビヤガムです。
アラビヤガムをバインダーにする絵の具ということは透明水彩や不透明水彩(ガッシュ)と同じ。
つまり、ニッカー製のポスターカラーはポスターカラーというより不透明水彩絵の具と考えて良いのではと思える絵の具です
デザイナースカラーとポスターカラーの違いは正直なところ、はじめのうちは全然わかりませんでした
わからないなりに使い続けるうちに些細なことですが(アレ?)と思うことがあり、今ではポスターカラーとデザイナースカラーを用途によって使い分けています。
ノビの違い
ニッカー製のデザイナースカラー、ポスターカラーともにノビはとても良いです。
マットに塗りつぶすような濃い濃度で描くとき、デザイナースカラーもポスターカラーもノビ方にほとんど違いは感じられません。
水の量を増やしたとき、デザイナースカラーの方がスーッと軽くノビます。
カバー力の違い
塗ったときに下地を覆い隠すカバー力にやや違いがあります。
上の画像はニッカー製のポスターカラーとデザイナースカラーのマゼンタを同程度の水の量で塗ったものです。
僅かですがポスターカラーの方が鉛筆の線をカバーする力が強く、デザイナースカラーは紙の白さがわずかに透けています。
カバー力については同じデザイナースカラーでも色の種類によって差があり、マゼンタはカバー力が弱いほうの色です。
この画像は同じ下地の色にポスターカラーとデザイナースカラーのセルリアンブルーをそれぞれ同程度の水で薄めて重ね塗りしたものです。
ポスターカラーの方はセルリアンブルーの色が上にかぶさって乗っている感じがしますが、デザイナースカラーの方は重ね塗りによって程よく混色されている感じがします。
私はたまたま似たような青い色の絵を連続して描いていたときに、ポスターカラーとデザイナースカラーを併用して描いた絵とポスターカラーだけで描いた絵で、わずかに色の鮮やかさと深みに違いがあることに気が付きました。
なにかがちがう…
それは絵の具そのものの鮮やかさのせいというより、重ね塗りしたときにポスターカラーの方がカバー力があるため明るめに仕上がり、デザイナースカラーは混色によってやや暗く仕上がり色に幅が出るというちがいでした。
上の画像は製作途中の絵ですが、ポスターカラーのみでややのっぺりした感じだったので、この後デザイナースカラーで重ね塗りしたのが下の画像です。
デザイナースカラーによって暗く深みのある表現が追加されました。
支持体が紙ではないので撮影時に影が出来てやや暗くきたない感じに映っていますが、絵の具の発色自体が暗いわけではありません。
色が上手く再現できませんが、完成はこんな感じになりました。
この経験以来、絵の下地には紙の白さが透けないカバー力のシッカリしたポスターカラー、重ね塗りにはデザイナースカラーと絵の具を使い分けながら描くようになりました
デザイナースカラーは不透明で存在感のある絵が描けるので、シッカリした額装をしたときも絵が額縁に負けてしまわないこともオススメ出来る理由のひとつです。
こちらの作品をはじめ、デザイナースカラーを使って描いた絵を中心に個展を開催することになりました。
デザイナースカラーでどのような絵が描けるのか、もしご興味のある方は作品を見にいらしてください。
デザイナースカラーの使い方
デザイナースカラーは濃く塗ればポスターカラーのようなマットな表現が出来、薄めて塗ると透明水彩のような表現が出来、同じ水彩絵の具の仲間同士のため、それぞれの絵の具と併用もしやすいです。
- デザイナースカラーをメインで使う。
- 透明水彩メインで濃く塗りたい部分にデザイナースカラーを使う。
- ポスターカラーの重ね塗りにデザイナースカラーを使う。
説明書には
絵具を水で溶く場合、水の量は10%~20%
とありますが、デザイナースカラーは透明水彩とポスターカラーの間をかなり自由に行き来出来る絵の具なので、あなたがデザイナースカラーを使う目的によって水の量も色々変えて試してみてくださいね。
上の画像のように、透明水彩とデザイナースカラーの混色も出来ます
ムラのないベタ塗りやグラデーションの描き方については、ポスターカラーの使い方と基本的には同じなので、こちらの記事もよかったら参考にしてみてください。
デザイナースカラーの色見本
デザイナースカラーの耐光性記号
ニッカー製デザイナースカラーの色見本の前に商品ラベルの見方について説明します。
左上の数字と記号はマンセル記号、右上はカラーインデックスなので、デザイナースカラーは色の勉強にも使いやすい絵の具ですね。
左下のマルは耐光性を表していてそれぞれの記号の意味は次のようになっています。
◉は強い
●は比較的強い
○は弱い
全色チェックしてみましたが耐光性の弱い色はほんのわずか。
一見耐光性が弱そうに見える色も比較的強いというカテゴリーになっているものが多く、心強いです
デザイナースカラー24色セットの色見本
それでは1色ずつ大きな画像で色を紹介していきます。
色の横に耐光性のマークも表示しておきます。
523 カーマイン ●
手に伝わる体感的には粒子が細かく、他の色よりやや水に溶けやすい感じがします。
他の色と同程度の水の量だと乾いたときに色がやや薄くなったため、他の色より若干濃いめに塗った方がシッカリ発色してくれます。
521 ポピーレッド ●(蛍光色)
鮮やかで名前の通りポピーのような赤です。
蛍光色となっていますが耐光性は比較的強いので、出番の多くなりそうな発色の良い赤です。
520 スカーレット ◉
朱色よりもオレンジ寄りの温かみのある色です。
509 マンダリン オレンジ ●
明るくフレッシュな印象の鮮やかなオレンジです。
フルーツを連想するようなジューシーな色です。
508 マリゴールド ◉
元気が出るような力強い発色です。
他の色と比べて塗りムラを感じにくくキレイに塗りやすい色です。
505 クロームイエロー ◉
力強い光のようなやや温かみも感じられる鮮やかな黄色。
501 レモンイエロー ◉
一瞬蛍光色かと見まごうほど明るく、クロームイエローと比べるとやや青みを感じさせる黄色。
554 ローン グリーン ◉
明るく軽やかな黄緑。
ローン(LAWN)は芝という意味ですが、生まれたばかりの新芽の透き通るような草を想起させる色です。
553 グラスグリーン ●
グラス(GRASS)も芝生や草の意味ですが、ローン グリーンより成長した草の色のイメージ。
落ち着いた黄緑でありながら、内側から光があふれだしてくるような深みも感じさせる鮮やかな色。
使い勝手が良く、私はとても好きな色です。
549 ビリヤード グリーン ◉
ビリヤード台のような緑という意味でしょうか。
マットな質感のザ・緑という感じの色です。
体感的には粒子が細かく均一にキレイに塗りやすい色だと感じました。
547 ビリジャン ●
やや青み寄りの緑。
ビリジャンという色はどの絵の具でも分離しやすい色ですが、デザイナースカラーのビリジャンは粒子が細かく分離によるザラつきをおさえてくれているので、実際に絵を描くときには使いやすいビリジャンだと思います。
重ね塗りすることで、分離色に起きやすいムラをおさえたキレイなベタ塗りが出来ます。
544 ピーコック グリーン ●
濃い水色。わずかにグリーン寄りのあまりクセのない水色です。
543 セルリアン ブルー ●
発色が良く深みのある青。
ひとつの色が水の量によって豊かに表情を変え、水にはサーッと絵の具が広がりボカシにも最高に適した魅力的な色。
分離色ですがザラつきが悪目立ちせず、ムラも表情のある表現になりキレイ。
使い勝手が良く私は大好きな色です。
541 ローヤル ブルー ●
青の持つ知的で上品なイメージに色気を足したようなイメージの色です。
分離色ですがザラつきはやや控えめなので、実際に絵を描くときにも扱いは難しくなく表情をつけやすい使い勝手も良い色。
単品使いでもキレイですが、近似色と合わせてボカシたり重ね塗りすることで、絵にコクや深みを出してくれる色です。
私が青い絵を描くときには欠かせない出番の多い色です。
537 コバルト ブルー ◉
マットでザ・青といった感じの青です。
コバルトブルーも一般的に分離しやすくムラにもなりやすい色の代表格ですが、デザイナースカラーのコバルトブルーは体感的に粒子がとても細かくザラザラした感じもおさえられマットでキレイなベタ塗りが出来ます。
534 ウルトラマリン ディープ ◉
不透明水彩のデザイナースカラーの中ではやや透け感のある色。
かなり強い分離色のため紙のエンボスに絵の具の粒子が落ちて表情を作りやすいです。
ベタ塗りはややしにくい色です。
532 バイオレット ●
青み寄りの上品な紫。
分離色でよく観察するとパープル系の色と青系の2色が見えるような気がします。
ベタ塗りには何度か重ね塗りが必要です。
530 ローヤル パープル ●
ややマゼンタ寄りの明るい紫。
バイオレットにしてもローヤルパープルにしても紫系でありながら耐光性は比較的強いので、安心して使えます。
527 マゼンタ ●(蛍光色)
分離色でありデザイナースカラー24色セットの中で最も透け感のある色。
細目の紙でなければ、重ね塗りしてもベタ塗りは難しいかもしれません。
526 ピンク 〇(蛍光色)
体感的に粒子がとても細かくマットでキレイなベタ塗りのしやすい色です。
デザイナースカラーの中では珍しく耐光性の弱い色ですが、私の経験上、透明水彩のように薄く塗るのでなくベタ塗りのようにしっかりと着色すれば、そう簡単に色あせはしません。
ポスターカラーにしろデザイナースカラーにしろ、透明水彩と比べて塗る絵の具の量や厚みがかなり違うので、ヘビーユーザーの体感的には耐光性に神経質になりすぎなくても良いと考えています。
514 バント シェンナ ◉
明るく茶色らしい茶色。
分離色でやや透け感もありますが、分離のザラつきも表情としてなじみやすいあたたかな色です。
507 ロー アンバー ◉
深い土の奥から光がじんわりあふれ出てくるような表情の豊かな色。
分離色です。
この色一色だけで絵を描いても魅力的な絵が描けるのではと感じます。
表現の可能性がとても感じられる色です。
560 ブラック ◉
若干分離を感じさせますが粒子が細かいのでクセの強い分離ではなく、扱いやすいと思います。
重ね塗りするとベタ塗りもマットでキレイです。
557 ホワイト ◉
見えやすいようにピーコックグリーンの上から塗ってみました。
濃度に気を付けて重ね塗りすればもっと下の色をカバー出来ます。
24色セットにプラスして人気があるという色を5色一緒にいただいたので、こちらもご紹介していきます。
どれも可愛くて美味しそうな色ですね
566 サビ グリーン ◉
侘び寂びの「サビ」でしょうか。
グリーンともグレーとも少し違う繊細な色。
個人的には学校の壁や床の色を思い出しました。
白いものを描くときの影色に使ってもぬくもりのある優しい表現が出来ると思います。
この絵の帽子の部分などに使っていますが、ナチュラルな雰囲気なので中間色を多用した絵にも合いますし、フレッシュな色と組合わせた配色にすると鮮やかな色を引き立ててくれる優しい色です。
575 オーキッド ローズ ●
ミルキーな可愛いピンクです。
粒子が細かくベタ塗りもキレイに塗りやすいです。
569 サンフラワー ◉
マリゴールドより明るい輝くようなオレンジです。
オレンジ色ですが見た感じのイメージはマンゴー色。
イラストに使うとパッと目を引いて絵があか抜けそうな色です。
573 カフェオレ ◉
パステル系の可愛い色と組合わせるとお洒落な配色になりそうな色。
粒子が細かくマットでムラのないベタ塗りもキレイです。
カフェオレらしくもあり、私はチョコレートのアイスクリームのように見えました。
可愛い配色の名わき役になりそうな色。
585 シンバシ ●
明治大正時代にハイカラとされ流行した新橋色。
ブルー系の色は分離しやすい傾向があるのですが、シンバシはきめ細かな粒子で分離せず、ムラなくマットでキレイなベタ塗りが出来ます。
デザイナースカラーはこんな人にオススメ
実は一般的に顔料よりアラビヤガムの方が原材料が高いので、デザイナースカラーをはじめとする顔料を多く含む不透明水彩は、品質の良い絵の具の中でもリーズナブル。
絵の具と水で描けるから使い方もシンプルで、老若男女を問わず初心者の人にもオススメです。
ニッカーさんの公式サイトではデザイナースカラーの用途は
デザイン / 絵画 / レタリング
となっており、プロフェッショナルにイラストや絵画作品の制作をする人にも、なめらかでノビの良い絵の具であることから文字を書くのにも適した使い心地の良い絵の具です。
マンセル記号やカラーインデックス表記もあるため、色彩の勉強をしたい人にもピッタリ。
【不透明でマットな存在感のある表現】と【水彩絵の具ならではの繊細さ】の両方を選びたい人に。
ポスターカラーの表現に深みを出したい人に。
透明水彩の表現に厚みを出したい人に。
ニッカー製のデザイナースカラーは魅力的で良い絵の具です。
私はふだん、ポスターカラーと不透明水彩の併用で絵を描くことが多いので、実際に絵を描くときにポスターカラーとデザイナースカラーをどう使い分けているかも詳しく説明しますね