奥行きのある絵を描くための5つの方法についてお話しします。
描きたい絵の雰囲気に合わせて方法を変えたり、他の方法と組み合わせることで奥行きのある絵を描くことが出来るようになります。
もくじ
奥行きのある絵の描き方
奥行きのある絵 ①背景を描く
絵の主役になるモチーフだけでなく、何らかの背景を描くことで奥行きを表現することが出来ます。
シンプルな静物画でもモチーフだけを描くのでなく、背景にテーブルと壁の境界線があるだけで見え方が変わってきます。
奥行きのある絵 ②大きさに変化をつける
近くにあるものは大きく、遠くにあるものは小さく見えます。
物の大きさに変化を付けることで奥行きのある絵が描けます。
上の画像では鳥は3羽とも同じ大きさの為、平坦な模様のような印象です。
先程と同じ鳥の絵の大きさに変化を付けると、大きな鳥は近く小さな鳥は遠くを飛んでいるように見え、奥行きが感じられます。
この方法はシンプルながら絵にインパクトを出したり、デザイン的な効果を出すことも出来ます。
浮世絵で有名な北斎や広重はこの方法を巧みに使いダイナミックな奥行きのある構図の絵をいくつも描いていますので、気になる方はぜひ画集などを見てください。
奥行きのある絵 ③色の特性を生かす
色には手前に飛び出して見える「膨張色」と奥に引っ込んで見える「収縮色」があります。
膨張色は赤やオレンジなどの暖色系と白などの明るい色、収縮色は青などの寒色系と黒などの暗い色です。
モチーフを膨張色で描き、背景を収縮色で描くことでモチーフが前に出て見え、奥行きのある絵になります。
奥行きのある絵 ④空気遠近法を使う
風景は遠くなるほどコントラストが弱くなってぼやけ、日中は色が薄く青みがかって見えます。
この見え方を利用し描く方法に空気遠近法があります。
遠くのものは彩度を落とし、やや青みがかった色でザックリと描きます。
近くのものほどコントラストを強く、彩度も高く細かく描き込むことで遠近感を出します。
この原理を応用すると、風景画でなくても同様に奥行きのある絵を描くことが出来ます。
主役になるモチーフにピントを合わせ、他をぼかすように描いたり、後ろにあるものをやや薄くグレイッシュな色で描くと効果的です。
上のチューリップの画像を空気遠近法を意識して加工してみます。
手前の花だけを鮮明にし、後ろの方は彩度を落としてぼかしました。
加工前と比べると奥行きが感じられます。
カメラのポートレートモードのように背景をぼかすことで、ピントを合わせたモチーフがより引き立つ表現も出来ます。
実際に絵を描くときに応用するとこんな感じです。
上の作品は手前にある花をくっきりとした濃い色で描き、後ろの方にある花は色を薄くすることで奥行きを出しました。
下の絵はピントをぼかす方法で描いた絵です。
左側の花にピントを合わせ、徐々にぼかすことで奥行きと雰囲気を出しています。
奥行きのある絵 ⑤透視図法を使う
透視図法には一点透視、二点透視、三点透視とありますが、物の形が消失点に向かって集まるように描く方法です。
一点透視
二点透視
三点透視
透視図法は奥行きのある絵を描く為の基本である一方、注意も必要です。
絵を描くときに透視図法を優先して理屈で描くと、極端に人工的になり嘘っぽくなってしまうことがあります。
建築などのパースやアニメとして描かれる場合は、わざと極端な角度で描いてカッコよく見せる場合もありますが、風景画や静物画に透視図法を使う場合は、見た目を重視してデッサンの一環として使用するにとどめる方が自然です。
普段自然な感じで見ている世界を透視図法で描くと、消失点までの距離はかなり長く、絵を描く紙からはみ出た位置に消失点がある場合が多いです。
二点透視と三点透視の消失点のうち二点は同じ高さにあります。
消失点を設定するときに高さが違っていると、その後どんなに手を尽くしても上手く描けないので気を付けましょう。
まとめ
奥行きのある絵は、普段私たちが物を見るときに感じる見え方の5つの特性を活かすことで描くことが出来ます。
立体感とも関係が深いので、こちらの記事もあわせてどうぞ。