絵が上手い人の絵は何が違うのか|絵が格段に上手くなる10の秘訣

絵が上手い人、プロの画家の絵はそうでない人の絵と何が違うのか。

どこを改善すれば絵がグンと上手くなるのか。

長く務めた画廊で販売してきたプロの画家さんたちの絵には共通するポイントがありました。

私自身は(もっと絵の上手い人は沢山いらっしゃいますが)仕事として取引先へ絵を納めるとき、必ず気をつけているポイントがあります。

絵が格段に上手くなる10の秘訣について、お話しします。

絵が上手い人の 10の秘訣

絵が上手い人の絵はパッと見たときキレイです。

迷う筆づかいがなくスッキリと仕上がっています。

あかぬけていると言えばわかりやすいでしょうか。

スッキリとあかぬけた上手い絵になるには10の秘訣があります。

  1. 構図
  2. デッサン
  3. 色調
  4. リズム
  5. 描き込みのさじ加減
  6. 背景との一体感
  7. ムラがない
  8. 質感
  9. 光と影
  10. 表現力

それぞれについて詳しく説明していきます。

構図が良い

絵が上手い人の絵は構図がしっかりしています。

静物画も風景画もまず構図をしっかり決めていないと、その後どれだけその絵を一生懸命描いても上手く仕上がりにくいです。

物にはカッコよく見える角度や、その物らしく見える角度があります。

絵を描くときはモチーフの形や角度を選び、損な構図にしないことがポイントです。

風景画は角度をつけて奥行のある構図にすることでグンと見映えが良くなります。

デッサンがしっかりできている

絵が上手い人の絵はデッサンがしっかりとられています。

わざと崩したものもありますが、基本的なデッサンが出来たうえで崩している場合が多いです。

風景画は水平線が歪んでいない

静物画はもののお尻の部分(底)がテーブルなどの床面にピタッと接している

人物は多少デフォルメしても骨格がきちんと通っている

光と影の方向がきちんと設定されている

このような基本をおさえたうえでアレンジされています。

色調がまとまっている

絵が上手い人の絵は色調がまとまっています。

あなたが女性なら、ご自身の肌についてブルべとかイエベなど調べたことがあるかもしれません。

それぞれの肌の色調に似合う服や口紅の色があるのと同じように、絵の中でも相性の良い色に合わせることで絵がまとまりあかぬけます。

出したい色が出せない場合はこちらの記事もチェックしてみてください。

絵にリズムがある

絵が上手い人の絵にはある種のリズムがあります。

それは構図の取り方によって感じられる動きであったり、陰影や色の組み合わせの強弱によるものであったり、線に生き生きとした躍動感があったり、メリハリがあります。

描き込みすぎない

一生懸命描くあまり絵の中に色々なモチーフや思いを詰め込みすぎてしまうと、見た人が圧迫感を感じやすくなります。

絵が上手い人はひとつの絵の中で緻密に描き込むところだけでなく、スッと力を抜いたところを作ります。

これをすることでリズムも生まれますし、見る人の意識が絵に入り込む余裕ができます。

見たものを全てそっくり描きうつすのではなく、必要ないものは省略することでスッキリと抜ける部分が生まれ、その絵で本当に見せたいものが何か見る人にも伝わりやすくなります。

日本画(特に掛け軸)はとても効果的で美しい空間を絵の中に作っていることが多いので、日本画を見ると力の抜き具合がとても勉強になっておすすめです。

背景とモチーフが一体化している

モチーフは上手に描けるけれど背景が上手く描けないとき、例えばモチーフは緻密に描き込んでいるのに背景は単色で塗るだけだとモチーフと背景が分離してしまいます。

絵が上手い人はモチーフと背景の一体化が上手です。

モチーフと背景を別々に分けて描くと分離しやすくなりますので、全体的にまんべんなく描き進めるとなじみやすくなります。

モチーフと色調の違う背景色を塗ってしまうと塗り絵のようになってしまいますので、モチーフと背景を相性の良い色調に合わせることもポイントです。

ムラがない

絵が上手い人の絵がなぜあかぬけているかというと、絵に塗りムラがないというのも理由のひとつです。

私も仕事で絵を描くときは、最後の仕上げの時点で塗りムラが気になったら必ずムラをきれいに修正してから納品しています。

水彩や日本画の溜塗りやボカシなどの風合いとは異なる筆の塗りムラがあると、どうしても絵がモタモタした感じになってしまいます。

これは手数が多いことと、塗る面積に対して筆が小さいことなどが原因です。

ムラを作らない塗り方として水彩では絵そのものを動かして筆を使わず絵の具を流すという方法がありますが、筆を使う場合には広い部分や均一に塗りたいところは平筆や刷毛を使うことでムラをかなり抑えることが出来ます

アクリル絵の具や油絵は失敗しても上から描けばいいから便利と思う方も多いと思いますが、基本的に絵は手を入れれば入れるほど汚くなります。

描く部分に適した筆や刷毛を使い必要最小限の手数で描くことでムラが減り、絵の完成度が上がります。

ポスターカラーはラクにムラなく塗れる絵の具としておすすめです。

質感を描き分ける

絵が上手い人は絵の中での質感の描き分けが上手です。

ツルツルしたもの、フワフワしたもの、やわらかなもの、かたいものなど、デッサンを習うとこういった質感のちがいも描き分けるようになりますが、絵の具など鉛筆以外の画材で描くときにも質感を描き分けられると絵にリアリティが出ます

かつて宮廷画家とよばれる人がいた時代には、シルクを描くのが上手な画家が重宝されたそうです。

光と影の表現

絵をパッと見た瞬間に「絵が上手い」と感じる要素のひとつに光と影の表現があります。

特に最近はSNSなどでの反応を見ていても、アナログかデジタルかに関わらず光と影の表現がドラマチックで上手な人の絵は注目され人気が高い傾向があります。

光と影をコントロール出来るようになると見る人の視線を絵の中の見せたいところへ誘導することも出来るため、身につければかなり強力な技術だと思います。

表現したいものが描ける

絵というものの良さは必ずしも技術的なたくみさとイコールではなく、何をもって上手と感じるかも実際は人によって異なるものだと思います。

この記事ではあくまでも技術的な切り口から絵の上手い人の特徴をお話ししてきましたが、そういった技術的なものの有る無しにかかわらず、「その絵で表現したいものが見た人に伝わるように描ける」というのも絵が上手いと感じる要素のひとつです。

表現したいものは自然とにじみ出てくるものもありますが、技術的なものも総動員すればより見る人に伝わりやすく人の記憶に残る絵になるのではないでしょうか。

上手な絵を見て学ぶ

絵の勉強のために実際に美術館や画廊で絵を見ることもおすすめです。

今はスマホで絵の上手い人の作品を見ることは出来ますが、スマホの小さな光る画面では実際の筆遣いなどが実感としてつかみにくいです。

美術館に展覧会を見に行くときはどの絵が好きかという見方でなく、構図や色遣いなどのテクニックを意識して見ると技法を盗むことが出来るようになります。

高額品を扱う画廊や百貨店の画廊で作品を見るもおすすめです。

初心者の人へ

絵の上手い人の特徴を10コ解説してきましたが、もしあなたが絵を描く初心者という場合はこの特徴は頭の片隅においておき、まずは楽しんで描くことから始めてみてください

ここに書いてきた絵の上手い人の特徴は、絵を描く仕事をいただけるようになった今の私にもまだ上手く出来ないことも含まれていますし、美大に通っていた頃には気が付きもしなかったことも含まれています。

初心者の方を小学一年生と例えるなら、中学校や高校で習うような内容、それより先で学ぶような内容になっているので、今すぐやってみようとすると難しくて身動きが取れなくなってしまうかもしれません。

初心者の方に限らず一気にすべてを習得するのはハードルが高いので、まずは楽しみながら描いていき、もっと上手になりたいと物足りなく感じるようになったら、気になった項目から少しずつ取り入れてみるというのがおすすめです。

まとめ

絵が上手くなるには基本的にテクニックは必要です。

上手い絵をたくさん見て勉強したり10の秘訣について意識しながらひとつひとつテクニックを身につけていくと、必ず絵は上達します。

絵がなかなか上手くならないと不安になるときは、こちらの記事もあわせてどうぞ。

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ミラデザイン画家
似顔絵肖像画を描いたり師匠のアシスタントをしながら制作活動をしています。好きな画材はポスターカラー、不透明水彩、日本画の絵の具。琳派とヨーロッパアンティーク風の絵が好きです。画家活動や画廊で長く働いた経験から得た、絵の描き方やリアルなアートの話のほか、生きづらくて苦しんだ後にたどり着いた、前向きでラクな考え方や肩の力を抜いた楽しい生き方についても書いています。