絵を描くのが楽しくないときの対処法|5つの原因と4つの目的別に解説

絵を描くのが大好きな人でも、絵を描くのが楽しくなくなってしまうことは、特別珍しいことではありません。

それでも絵が好きな人にとって一時的であれ、描くのが楽しくないというのはモヤモヤ苦しいものですよね。

この苦しい状況への対処法として、絵を描くのが楽しくない理由ごとの対処法と、そもそも何のために絵を描いているのかという目的別に絵との向き合い方を考えて整理してみたので、参考にしてもらえるものがあれば良いなと思います。

絵を描くのが楽しくない理由と対処法

絵を描くのが楽しくなくなる原因を5つに絞って見ていきます。

イメージ通りに描けないから

描きたいイメージに自分の力量が追い付いていなくて、頭の中にあるイメージと描いた絵にギャップがあるとき、制作に行き詰まって楽しくなくなることがあります。

これは数をこなさないと出来ない部分もありますが、数をこなしているつもりでも同じパターンの描き方で描いている場合、ちょっとニュアンスの違う絵にしたとたん描けなくて困るなど、描き方のバリエーションを学んで増やさないとクリアできないこともあります。

技術的につまづいて悩んでいるのであれば、どのように描いたらいいのかを学んで身につけるしかありません。

自分ひとりではお手上げという場合には、絵について指導やアドバイスをもらえる人に相談してヒントをもらうことが早道になります。

絵が下手だから

イメージ通りに描けないというよりも、絵が下手だと自覚して楽しくないときもあると思います。

私は日々絵の描き方のバリエーションを増やしているところですが、描き慣れている方法で描くときと新しく習得しようと描くときで、絵の完成度がずいぶん違います。

不慣れで上手く描けないと「わたしはこんなに下手だったの?」と思ってドッと疲れ、楽しむどころではありません。

気分転換してまた一から同じ絵にチャレンジしても良いけど、私の場合はそういう絵は一旦放置して他の絵を描ことが多いです。

「自分下手だな」って落胆するときもありますが、私があまり悩まないのはいちいち悩むのが嫌だというのがベースにあって、上手くなりたいんだったら勉強して描いて時間がかかっても上手くなるように頑張れば良いし、上手くなることに必要性を感じないのであれば、そもそもそこで悩む必要はないと考えています。

頑張らなくてもスイスイ描ける人もいるのかもしれませんが、

「なんや、いちいち悩まんでよかったわ、楽しく描こう」でも良いし、「しんどいけどちょっと休憩してまた頑張ってみよ」でも良い。

大抵はこのどっちかで良いと思いませんか?

頑張りたい系の人はすぐに上手くなることや手軽に上手くなることに関心がいきがちですが、コツというものはあっても絵を描く技術は簡単に身につくわけではないので、たとえ下手だと自覚してもあせらぜず上手に気持ちを切り替える自分の機嫌を上手にとりながら絵と付き合っていくことが絵を長く楽しんで描き続ける秘訣じゃないかな。

私はそうしています。

絵が上手い人と比べてしまうから

他の人と比べて落ち込んだり嫉妬してしまう場合。

嫉妬くらい誰にでもあることだけど、他の誰かに嫉妬しているときはたいてい視野が狭くなっていて自分のことも相手のことも等身大で見られていない可能性も高く、エネルギーのムダ遣いをしている状態です。

しんどくて何の役にも立たない嫉妬はサッサと手離してしまうことをおすすめします。

そしてそもそも、あなたの絵と人の絵を比べる必要があるのかも落ち着いて考えてみてください。

いいねが少ないから

X(旧Twitter)をはじめとしたSNSに投稿したとき、いいねやリツイートなどされると励みになる一方で、見てくれる人が少ないと絵を描くモチベーションが上がらず、楽しくないという場合もあると思います。

Xのいいねに関しては、稼働歴や更新頻度などとも関係していますし、いいね数=本当に良いと思っているということでもないようです。

私自身はもともとSNSはとても苦手でしたが、たとえ少なくても見てくれている人に感謝してコツコツ更新し続けることで、ただの社交辞令の挨拶のいいねでなく、少しずつですが本当に応援してくれているいいねも貰えるようになってきました。

少ない数でも本当に応援されていると大きな励みになります。

SNSごしの見えない相手は、ただの数字でなく血の通った人たちです。

画家活動を本格的にする場合には、何らかの形で発信していく必要がありますが、いいねやインプレッションに振り回されてしまい絵を描くのが楽しくないというときには、SNSから少し距離をおくのも良いと思いますし、一度きちんとSNSの運用方法について学んでから改めて発信していくと、反応に対する見方も変わると思います。

私は個人的には他人の評価を基準にする「いいね」をもらいたいために絵を描くというのは精神的に不安定になりやすそうでオススメしませんが、どうしても「いいね」をもらいたいのであれば、圧倒的に「いいね」をもらっている人の投稿をよく見てよく考え「なぜその絵にいいねがつくのか」を勉強させてもらうのが早道だと思います。

描くことがつまらなくなった

絵を描いていてときめかないとき。

アウトプットの連続などで気力や体力が消耗しているとき、絵を描くことが楽しくなくなることがあります。

疲労が蓄積している場合は、描くことやインプットからも一旦離れて休むのも良いと思います。

絵を描くのに飽きている間に洋服を縫ってみたり、コラージュをする、文字を書くなど、別の分野の創作をしてみるのも新鮮な気持ちになります。

一時的な「楽しくない」であれば休むという選択で良いと思うのですが、ずっと楽しくないのであれば絵以外に何か楽しいことを見つけた方が良いよという場合もあると思います。

「楽しくない」のに「描きたい」という場合、なぜ「描きたい」かによって処方が変わってくるので、それは自分自身と向き合って、自分の声をよく聞く必要があります。

絵を描く目的と考え方

絵に関することを検索すると沢山の記事がヒットするわけですが、「絵に関する記事」とひと言で言っても初心者向けの記事か中級以上の人向けか、趣味で楽しく描きたい人向けか仕事にしたり絵を売りたい人向けなのか様々なので、記事を鵜呑みにせず自分は絵をどうしたいのかという目的を自覚した上で、あなたに役立つ方法を選んでいく必要があります。

あなたにとっての絵を描く目的は何ですか。

絵を仕事にしたい

「楽しんだらあかんねん」

絵とデザインで独立して生きてきた師匠はそう言います。

仕事の絵は自分が楽しむためものではないため、自分が絵を描いていて楽しいか楽しくないかは問題ではありません。

私も似顔絵の仕事や助手としてウォールアートの仕事にも関わりましたが、遊びで描いているわけでないので、絵を描いている最中に気にしていることは自分のことでなく、お客様が何を求めているかです。

仕事が済んでから振り返ってみて「あぁ楽しかったな」と思うこともありますが、私は基本的に仕事で絵を描くときに描くことが楽しいかどうかは気にしません

好きな仕事だからいつも楽しいかと言ったら、絵に限らずどんな分野の仕事でも「楽しいだけでは済まない大変さ」があってふつうではないでしょうか。

絵を売りたい

仕事で描くときにも近い感覚ですが、私は売ることになる絵を描くときにも楽しいかどうかをあまり気にしません。

私個人の基本的な考えですが「お客様が欲しい絵は、お客様がお金を払って見に来る(購入される)もの」「画家が好きなように描いた絵は、画家がお金を払って展示して見てもらうもの」と考えています。

画家さんに人気があれば、好きなように描いても売れていくのかもしれませんが、画廊で仕事をしてきた経験から、人気のある画家さんであっても売れ筋の絵とそうでないものがあることを知りました。

私が絵を売ろうと考えるときには、楽しいか楽しくないかでなく、プロとしてのラインを超えているか、お客様が求めている要素が絵に入っているかの方が気になります。

ただこの「楽しい楽しくない」は「描きたい描きたくない」とは別物で、描きたくもない絵を売るために嫌々描いたりはしていません。

自分の描いている瞬間の楽しさ以上に大事にしたいこと、値段を付けてお客様に買っていただくときの誠意の一種だと思います。

いいねがほしい

SNSで絵にいいねをもらうことが目的の場合は、先ほども書きましたがSNSの運用についてきちんと勉強すると良いと思います。

SNSの楽しみ方は人それぞれ自由ですが、人からもらう絵の評価を自己肯定感や楽しみのよりどころにしてしまうと他人に振り回されてしまいます。

いいねは必ずしも絵の評価を意味していないことも含めて、SNSに依存しないで心の安定は別のところで確保しておくことで、SNSは長く楽しめると思います。

描くことを楽しみたい

SNSでのいいね、絵が上手くなる方法やどうしたら売れるかといった情報があふれる今の時代、描くことを素朴に楽しみたい人も本当は多いはずだと思います。

絵を描くって、頑張らないといけないことなのかなとか、上手にならないと悪いのかとか、売れないといけないのかとプレッシャーに感じると、絵は楽しくないですよね。

絵は本来は絵の具が滲んで面白いとか、キレイな色だなというだけでも楽しいもの。

絵を描いてSNSで発表したり私のように絵に関するブログを書いている人もいますが、それぞれ人によって目的も異なりますし、ひとはひとと気にせず楽しく描いていいのではないでしょうか。

まとめ

絵を描くのが楽しくない時期は、誰にでも起こりうることだと思います。

ただ、仕事や絵を売るときには楽しいかどうかは最優先事項ではないと私自身は考えています。

苦しくてもしっかり描いて納品できた絵からは、楽しさの代わりに描く力をもらっていることもあります。

描くときに特別楽しいと思っていなくても、一生懸命取り組んだ仕事や絵は、後から振り返ると達成感や喜びを感じることもあり、まわりまわって結局は楽しいということになっていたりします。

絵を描くことが楽しくないときは、絵から離れるのも悪いことでないと思います。

結局のところ絵に限らず、仕事であっても趣味であっても「やりたいこと」なら苦しいことがあっても頑張れば良いし、「やりたくない」と感じるのであればやめれば良いというのが答えではないでしょうか。

ただ、周りと比べたりあふれる情報に振り回され絵を描くのが楽しくなくなった場合は、一旦冷静になり「自分はどうして絵を描きたいのかな」という本音と向き合い、情報は上手に選んで受け取る、比べる必要のないことを比べて悩まないことが大切だと思います。

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MIRAデザイン画家
絵が上達したい・自分の描いた絵を売ってみたい人へ、上達のヒントや画家活動の悩みの解決方法、画材などについて発信しています。 以前は画廊に勤め毎日絵を販売していました。 現在は師匠と吉祥画を制作販売したりリアル系似顔絵の注文を受けたり、絵画講師をしながら独自の支持体を使って絵を描いています。 ブログに書ききれない情報はメルマガで。 本気で上達したい人向けの水彩画のテクニック講座が気になったら、おトクなオープニング価格のうちに体験してみてくださいね。(好評です) 11月29日~12月1日に大阪で個展を開催。 あなたのお越しをお待ちしています。