抜群のノビの良さ!ニッカー製ポスターカラーの特徴とおすすめセット

このたび初めてニッカーさんのポスターカラー(40ml 18色セット)を取り寄せて使ってみました。

私は10年ほどポスターカラーを愛用しているのですが、今まで使ってきたポスターカラーの感触とかなり違います。

ミラ

なんか別の種類の絵の具かと思ったわ…

一口にポスターカラーといっても材料などメーカーさんによって異なるようで、使い心地など特徴も違うようです。

そうはいっても、ここまで違うとは想像していなかったので、取り寄せた絵の具のご紹介とニッカーのポスターカラーならではの特徴についてお話ししようと思います。

「ニッカーのポスターカラーといえばアニメの背景画」という認識が広まっていますが、ポスターカラーという画材はアニメの背景画を描くためだけの絵の具でなく、もともと絵画、版画、イラスト、デザインなど様々な表現に適した絵の具であり、ムラのない美しい発色とコストパフォーマンスの良さなどからアニメの背景画に使われている絵の具です。

ニッカー製 ポスターカラーの特徴

ニッカーのポスターカラー公式ホームページでの説明によると、最高級のアラビアガムをバインダー(接着成分)として使い添加物の使用を抑えているため、絵の具の伸びが良く水との馴染みに優れるとありますが、実際に使ってみると

ミラ

水に溶ける溶ける

少しの水にもシュルっと溶けて、めちゃくちゃ軽やかに伸びるの一体なんなの

とにかく軽い、そして抜群にノビの良い絵の具なのです。

ニッカー製 ポスターカラーを使ってみた

とりあえずニッカーのポスターカラーで試しに描いてみると…

ミラ

ん…?エラくにじみがキレイじゃない?

これ、ポスターカラーやんな…?

私の今までの認識では、ポスターカラーとは水やメディウムと混ぜることで透明水彩風の表現は出来るものの、淡いにじみの表現をするよりコテッとしたコクのある表現の方が向いている絵の具であり、にじみの表現は透明水彩や不透明水彩(ガッシュ)の方に軍配が上がるものと思っていました。

でもニッカー製のポスターカラーは色によって多少異なるとは思いますが、にじみの水彩的表現も余裕でこなせる絵の具だったのです。

ミラ

ポスターカラーというより、大容量の不透明水彩絵の具といった感じ

ニッカーのポスターカラーは耐光性においても不透明水彩(ガッシュ)と同等のクオリティというのは別の記事に詳しく書きましたが、

実際の使い心地も不透明水彩絵の具に非常に似ている感じです。

ニッカー製のポスターカラーは、ポスターカラーの基本的な技法はどれも使えるのですが、

ひとつだけ、他社製のポスターカラーよりテクニックが必要だなと感じたのは、ムラのないベタ塗りです。

もともとポスターカラーという画材はムラのないベタ塗りが得意な絵の具なのですが、ニッカー製のポスターカラーはよく水に溶けやわらかにノビることから、普通に塗るだけでは僅かではありますが筆ムラ(刷毛の筋目)が出る(絵の具の色のムラではありません)と感じました。

そこで活躍するのが唐刷毛です。

唐刷毛とは絵の具を塗る刷毛とは別の乾いた刷毛のことで、塗ったばかりの絵の具の表面を繰り返しはくことでムラをなくすことが出来ます。

ニッカーさんのYouTube動画を見るとよく唐刷毛が登場する理由はこれだったのかなと思いました。

ある程度の濃度で塗れば唐刷毛なしでも遠目にはムラはわからない程度ですが、至近距離で見比べてみると唐刷毛ありの方がフラットでキレイに塗ることが出来ています。

唐刷毛を使わないキレイなベタ塗りの方法としては、出来るだけ幅広の刷毛を使い、絵の具の濃度を見きわめて塗ることです。

ニッカー製 ポスターカラー18色セットの中身(色見本)

私が購入したのはポスターカラーの40ml 18色セットと、そこに入っていなかった5色の絵の具です。

(パッケージは旧デザインの物なので、最新のものと異なります。)

18色セットには基本の12色セットに入っていないスカーレットレーキ、ライトブルー、ライトグリーン、フレンチブルー、モーブ、ピンクが入っています。

ピンクに関しては12色セットの絵の具では作れない色なのと、モーブは私はわりと使う色、フレンチブルーが私にはすごく可愛い色に感じたというのはありましたが、他の3色は近い色を混色で作れそうなこともあり、12色セットを買って自分がよく使いそうな色を買い足すというのでも良かったかなと思いました。

私はピンクよりもう少し落ち着いた色が欲しかったのでマゼンタ、よく使う色のオリーブグリーン、一目ぼれのインジゴなどを買い足しました。

発色

ニッカーのポスターカラーの色見本を作りました。

どの色も曇りがなく、スッキリと鮮やかな発色です。

分離色

ニッカー製ポスターカラー18色セットの中では、他の多くの水彩絵の具でも分離色となるコバルトブルーをはじめ、モーブ、ピンク、セルリアンブルー、ビリジャン、ソフトブラックが分離色のようでした。

耐光性

18色の中でコバルトバイオレットとピンク以外の色の耐光性は「比較的強い(Good)」または「強い(Excellent)」と分類されています。

描いた絵を高額で販売するとか、絶対に良い状態で長期保存したいということでなければ神経質になる必要はないと思いますが、どうしても耐光性が気になる方は近似色でも耐光性の異なる色がありますので、耐光性の弱い色(Poor)より耐光性の強い色を選んで描くと良いと思います。

ニッカー製 ポスターカラーの関連商品

ニッカー製ポスターカラーの関連商品としてあると便利なものなど。

ミクスチュア

ミクスチュア(ニッカー公式サイトにとびます)はポスターカラー用のメディウムです。

ミクスチュアをポスターカラーと混ぜることで透明水彩のような表現が出来ます。

ニッカー製のポスターカラーでは金・銀のカラーについては練りタイプではない粉末絵の具のみとなっており、水で溶いて使えるようですが、水だけだと画面への定着力は弱いと思いますのでミクスチュアと混ぜて塗ることをオススメします。

ミクスチュアは接着剤の役割をしますので、ポスターカラーを布や木などに塗りたいときにも混ぜると良いそうです。

ポスターカラー復活材

ポスターカラーは長期保存していると固くなってくることがあります。

ポスターカラー復活材(公式サイト)を入れて混ぜると復活します。

混色用空瓶

大きな作品を作るときなど自分で混色して作った絵の具を保存するための容器です。

40mlのポスターカラーと同じデザインの容器です。

初心者の方にオススメのニッカー製ポスターカラー

初心者の方がはじめてニッカー製のポスターカラーを購入する場合、オススメの商品はポスターカラー20ml(チューブ)12色セット(公式サイト)にピンクまたはマゼンタを追加して、とりあえず使ってみると良いと思います。

あとは

ご自身が描きたい絵によって、例えば自然の風景を描きたいのであればグリーン系を追加してみるとか、お花を描きたいのであればピンク系とか。

描きたいモチーフがすでに決まっている場合は、それに使いたい色を追加すると良いと思います。

ポスターカラーは混色しやすい絵の具ですから、基本の12色を混色して沢山の色を作ることが出来ます。

実際に自分で混色してみてどうしても思っている色にならない場合や同じ色をたくさん使いたい時にその色を追加していく、というので良いのではないかと思います。

ポスターカラーは混色の際にホワイトを大量に消費します。(人によってはブラックもよく使うという方もいます。)

ですので初心者の方にオススメは

  • ポスターカラー20ml(チューブ)12色セット
  • ピンクまたはマゼンタ
  • 欲しい色
  • ホワイト(20mlチューブ、または40mlボトル)を追加

こんな感じではじめてみられると良いかなと思います。

おまけの豆知識

ニッカー製のポスターカラーに限らずボトルタイプの絵の具を使うとき、パッと見て何の色かわかりにくいことがよくあるんですよね。

収納する場所にもよるとは思いますが、上から見下ろすとどの色も黒い蓋で机の上にたくさんボトルを並べて絵を描いている時など、目的の色をとっさに見つけにくいことが私はよくあるので、蓋に色名を書いたタックシールを貼るようにしています。

わずかなことですが作業効率が良くなります。

あと、ニッカーさんのボトルタイプのセット品は開封時にはボトルを寝かせた状態で箱に入っていますが、保管する時には蓋が天になるように立てておく方が良いですよ。

寝かせた状態だと絵の具が瓶の中で片寄りますし、開封した後は蓋の閉め方がゆるいとメディウムがもれてベトベトになることもあります。

箱の中で立てて収納する場合でもタックシールで色名がわかると便利です。

ニッカーのポスターカラー まとめ

ニッカー製ポスターカラーは非常に水に溶けやすく、軽くなめらかな描き心地で重厚なタッチから透明水彩のようなにじみの表現まで幅広く使える絵の具です。

水に溶けやすいので、水彩画ではなくアニメの背景画のようなこってりしたタッチの絵を描きたい場合は、使う水の量はかなり少なくしないと薄まってムラが出来やすくなります。

使いながら絵の具の濃度をおぼえていくと良いと思います。

唐刷毛もあったほうが作品のクオリティは上がると思います。

個人的にはニッカー製のポスターカラーは不透明水彩の大容量タイプとしてとらえても良いかなと思っています。

ニッカーさんからはよりグレードの高いデザイナースカラーという不透明水彩絵の具も出ています。

初心者の方や失敗を恐れずたくさん描きたいという方は、高品質ながらコストパフォーマンスの良いポスターカラーから始めてみては。

不透明水彩について詳しく知りたい方はこちらの記事でご確認ください。

上の絵はポスターカラーで描いた絵と文字を簡単なコラージュにしたものです。(加工の上手な方はもっとクオリティの高い合成が出来るはず…)

デザイナーさんやアナログテイストのイラストレーターさんにも重宝する画材だと思います。

色数も77色(ボトルは77色チューブは36色)と多いので、混色せずにフレッシュな色を使いたい方にもおすすめです。

ニッカー製のポスターカラーはアニメ風景画だけでなく色々な使い方遊び方の出来る絵の具なので、アニメの背景画以外の絵を描きたい方にも手に取っていただけたら、ポスターカラー愛用者のひとりとして嬉しいです。

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MIRAデザイン画家
絵が上達したい・自分の描いた絵を売ってみたい人へ、上達のヒントや画家活動の悩みの解決方法、画材などについて発信しています。 以前は画廊に勤め毎日絵を販売していました。 現在は師匠と吉祥画を制作販売したりリアル系似顔絵の注文を受けたり、絵画講師をしながら独自の支持体を使って絵を描いています。 ブログに書ききれない情報はメルマガで。 本気で上達したい人向けの水彩画のテクニック講座が気になったら、おトクなオープニング価格のうちに体験してみてくださいね。(好評です) 11月29日~12月1日に大阪で個展を開催。 あなたのお越しをお待ちしています。